Marshall JeffersonがDJを辞めた理由
ハウスミュージック界のレジェンド、Marshall JeffersonがMixmagに掲載されたエッセイの中で、ダンスシーンにおける人種間の不平等について、なぜそのような不平等が存在すると考えるのか、そして30年以上経ってからDJを辞めた理由について書いています。
「昨年、Ibizaの満員のクラブで4000人以上の客を集めてプレイして、2000ドルくらいもらったよ。でも、隣の空いているクラブでプレイした白人DJが25万ユーロもらっていたことを知って、DJを辞めることにしたんだ。
それまでは、クラブを満員にしたのなら、お金をもらうに値すると思っていたんだ。空っぽのクラブで俺より高い金を貰ったら、俺はやってられない。
それは人種差別のせいではなく、俺と俺の間抜けな商習慣のせいだった。でも黒人DJは白人DJのように25万ドル以上は貰えないよ。全ては数字だよ。黒人はオーディエンスの10分の1を獲得しているけど、数字的には悪い投資だよ。」
Marshall Jeffersonは、”少数民族よりも白人の方が多い”という理由から、この問題は需要と供給の差だと考えていると説明しています。
「マイノリティの10倍の白人がいれば、観客の数は10倍になります。白人は白人のヒーローを欲しがり、黒人は黒人のヒーローを欲しがり、インド人はインド人のヒーローを欲しがり、中国人は中国人のヒーローを欲しがる。
白人のアーティストに音楽を出せば、それは他の誰よりも10倍のオーディエンスがいることになります。レコード会社が白人アーティストに100万ドルを与え、より才能のある黒人アーティストに5万ドルを与えるとしたら、それは経済学的なものだ」
「しかも、音楽雑誌でこのイベントのことを読んだ時には、白人のDJはセンセーショナルなセットをしていて、私は最悪だったと言われてしまいました。すぐにその雑誌に苦情の手紙を出した。
それは人種の問題ではなく、経済的な問題だと思う。白人DJには優秀なパブリシストがいて、彼の後ろにはメディア・マシンがいて、それが彼への好意的な報道の理由だったんだ。私はパブリシストを持っていなかったので、レポーターは私を見下しても何の影響もないと思っているようです。」
メインステージのEDMは白人のオーディエンスを惹きつける白人プロデューサーによって作られていることを考えると、ここ10年のEDMの台頭は有色人種のアーティストを不利な立場に追いやっていると言えるかもしれません。
「90年代後半になると、DJ Magのトップ100にランクインさせるためにオランダのDJたちはお客さんに投票用紙を送っていました。その時は笑っていたけど、オランダのDJ達は文字通り、どこからともなく現れて、投票でトップに立ち始め、お金を手にしたのです。大金を手にした。
彼らの報酬は数十万ドルに跳ね上がった。これはノルウェーのDJやスロバキアのDJ、クロアチアのDJにも起こりうることだ。でも、オランダ人はそれを考えて、実際にやったんだから、彼らはそれで儲けて当然なんだよ。」
このように、ビジネスの上手さを認めているような発言もある一方で、ルーツである自分たちの音楽が奪われているようにも感じているようです。
「最初はそうじゃなかったんだ。最初の頃は平等な土俵だと思っていたんだ。でもEDMの台頭で、白人DJだけがEDMを作っているから、経済力が白人の手に移ったんだ。ロックンロールも同じことが起こった。黒人のアーティストは今日では成功していないし、黒人のアーティストはEDMを作っていない。
そして、EDMの成功が業界を席巻している今、新しいファンやダンスミュージックの新規参入者は音楽のルーツを知らないし、今ではルーツであるブラックミュージックへの認識は、もう戻れないほどに浸食されていると感じています。」
「ポップスやフェスのプレイリストをもっとバラエティに富んだものにしなければならないんだ。誰もが一晩中一つのスタイルだけの音楽を聴きたいとは思っていないというのが、今でも私の考えです。ダンスミュージックでは、それを変える。これまでもそうだった。」
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