東京23区内のナイトクラブ、DJバー / ラウンジで、受動喫煙の防止対策に力を入れているお店ってどのくらいあると思いますか?
気になったので調べてみましたよ!
でも、禁煙(分煙)のナイトクラブ、DJバー / ラウンジを紹介する前に、お堅い話(世界の禁煙に対する状況)から始める必要があるでしょう。(興味ない方はすっ飛ばしてください)
2004年に世界で初めて国全体を全面禁煙とする法律がアイルランドで施行されました。同年にニュージーランド、その後もウルグアイ(2006年)・イギリス(2007年)・香港・トルコ(2009年)、そしてアメリカでも半数以上の州で屋内を全面禁煙とする法律が成立しています。
2020年時点で67カ国が屋内全面禁煙となっていて、途上国を含む世界各国にこの動きが広がっています。
日本においても喫煙者の割合は減り、受動喫煙防止対策が強化されています。2018年7月に健康増進法の一部を改正する法律が成立し、改正された健康増進法が2020年4月1日より全面施行されました。
たばこ税が上がり、一般的な紙巻きたばこだけでなく、加熱式たばこや葉巻たばこも含め価格が値上がりしたことや、健康志向の高まりから喫煙者の割合は年々減少しているようです。
現在習慣的に喫煙している人の割合は、16.7%であり、男女別にみると男性 27.1%、女性 7.6%です。グラフが示す通り、いずれも有意に減少しています。喫煙者の年齢階級別にみると、30~60歳代男性で喫煙の割合が高いことが読み取れます。
2007年に、いち早くクラブ、バー、パブなどで法的に禁煙が実施されたイギリスでは、英厚生省は「これは国をあげての健康的な生活への大きな一歩」と説明していました。
当時、この新しい法律に対してはクラブ関係者らも概ね賛成の様子で、DJのJudge Julesは、
「個人的には大歓迎だし、うれしいよ。DJをしてて、唯一嫌いなことはDJをやり終わって家に帰った時に、自分の体がまるで灰皿のようなニオイになっていること。クラブ業界からの観点でも、たぶん最初の3~6か月は打撃を受けるかもしれないけど、NYやカリフォルニアも禁煙になってるし、それから回復すると思うから、全体的には心配ないと思うよ」
と述べていました。
また、ロンドンの著名クラブ<Fabric>のNick Dohertyも「我々としては法律で決まったことなので文句はないよ。これが政府による束縛だとか思うのは逆におかしいんじゃないかな」とのこと。
その他にも、ある女性クラバーは「大歓迎ね。少なくとも禁煙になることで、他人のたばこによる火傷の被害がなくなるわ。私は今まで5回も他人のたばこによる火傷を負い、痛い思いをしているの」と述べていました。
・健康に良くない
・髪や服がたばこ臭くなるのが嫌
・たばこの火があたって怪我をする
当然、喫煙者に意見を求めると全然違う回答が得られるとは思いますが、タバコについてクラブ内では主に上記3つが問題点として挙げられることが多いです。
というわけで、東京23区にあるナイトクラブ、DJバー / ラウンジに問い合わせをしてみました。
受動喫煙防止対策、禁煙(分煙)について問い合わせをした結果
都内のお店全てだと数えきれないほどあって不可能なため、ハウスミュージックが聴ける23区内の店舗40ヶ所に絞り、下記のような問い合わせをしてみました。
親愛なるクラブ、DJバー / ラウンジ各位
当サイトで次回の特集記事として、禁煙、分煙を行っている都内のクラブ、DJバー/ラウンジをご紹介させて頂く記事を予定しております。
つきましては、施設内の喫煙、禁煙状況をお教え頂きたくご連絡いたしました。
何卒ご協力よろしくお願いいたします。掲載辞退の場合はその旨ご返信頂ければと思います。
以下、質問となります。
1、施設内の喫煙、禁煙状況を下記より一つ選んでください。
・全室喫煙可
・全室禁煙
・施設内禁煙だが別途喫煙ルームあり
・基本的に喫煙、イベントによっては禁煙
・その他(詳しく教えてください)
2、禁煙の時間帯を下記より一つ選んでください。
※禁煙のフロアがある場合のみご回答お願いいたします。
・終日禁煙
・時間帯により禁煙(時間帯を教えてください)
クラブ、DJバー / ラウンジ側にとっては、健康増進法が2020年4月1日改正された際に悩みに悩んだはずなので、今更こんなメールが届いて、さぞウザかったでしょう。
そうですね、タバコの煙以上に煙たがられたに違いありません。笑
ご協力頂いた店舗のみなさまありがとうございました。
なお、2020年4月1日以降も施設内での喫煙を許可されるケースがあります。それは以下の場合です。
(1)喫煙専用室を設けた場合
(2)加熱式たばこ喫煙室を設けた場合
(3)既存かつ経営規模が小さい店舗(客席面積100平方メートル以下)
(4)葉巻やたばこを楽しむことを主目的とする「喫煙目的店」
喫煙者も非喫煙者も両方が居心地の良い空間を作ることが出来れば理想ですが、現実問題はなかなか難しい部分ではあります。
日本の土地の狭さは誰もが知るところ、ナイトクラブ、DJバー / ラウンジの大半は小箱ですから、スペースの問題、設備投資の問題もあり、一筋縄ではいかないのが現状でしょう。
また、売上の問題もあります。急に方向転換するのにはとても勇気が必要です。もし、売り上げが下がっても国は責任取ってはくれないですからね。
受動喫煙防止のための施設設備の整備に対し、100万円を上限とした助成金はあります。しかし、この程度の金額では設備の整備は難しいうえ、もし売り上げが下がったとしても一切の援助はありません。
禁煙(分煙)環境のナイトクラブ、DJバー / ラウンジはどこ?
まず、大前提としてナイトクラブ、DJバー / ラウンジといった場所は、基本的に換気が良くないことが多いです。防音性を考えると当然かもしれません。
そのため、例え分煙環境だとしても完全に煙をシャットアウト出来ない可能性はあるので、あらかじめその辺は心に留めておく必要があります。
なお、電子タバコ可については意見の別れる部分ではありますが、今回は禁煙(分煙)環境に含めました。とはいえ、電子タバコも気にされる方は遊びに行く際はご注意ください。
電子タバコは「タバコ類似品」であり、専用カートリッジ内の液体を加熱するタイプの製品です。加熱式タバコと混同されやすい製品ですが、タバコ葉を用いていない点で、加熱式タバコとは異なり規制対象にはなっていません。
加熱式タバコは、タバコ葉やタバコ葉を加工したものを燃焼させずに電気的に加熱するタイプのタバコ製品で、こちらは規制対象です。現在国内では、iQOS(アイコス)、Ploom TECH(プルームテック)、glo(グロー)が販売されています。
それでは、禁煙・分煙環境のあるナイトクラブ、DJバー / ラウンジをご紹介させて頂きます。
なお、問い合わせに対して返信のあった順番で掲載しております。
また、ホームページなどで禁煙、分煙の確認が出来た施設も追加しております。
or MIYASHITA PARK
1Fは電子タバコ、紙タバコ共に終日喫煙不可
2F、3Fは終日電子タバコのみ喫煙可(イベントにより禁煙の時もあり)
2Fに終日利用可能な紙タバコ可の喫煙所あり(イベントにより喫煙所閉鎖の時もあり)
2020年8月オープン。
「or(オア)」は、渋谷・宮下公園の跡地に新しく誕生した「MIYASHITA PARK(ミヤシタパーク)」内にオープンした複合エンターテイメント施設。
1階はカフェ、2階はアートギャラリー、3階はミュージックバーの3フロアで構成されていて、各フロアにDJが入り、それぞれ違う雰囲気の中で音楽とドリンクを楽しむことができる。
神楽音 / KGR(n)
クラブ内禁煙
喫煙ルームあり
2017年5月オープン。
日中にはライブハウス「神楽音」として、夜間・週末はナイトクラブ「KGR(n)」として営業している神楽坂のミュージックスポット。
メインフロアのキャパシティは80人、ラウンジは20人の小箱ながらも、米国・メイヤーサウンド社のスピーカーをはじめとする良質なサウンドシステムがインストールされている。
渋谷花魁
全室禁煙
2010年6月オープン。
渋谷道玄坂に位置する古民家をリノベーションした珍しいウォームアップ・バー。
色鮮やかな赤を基調としたお店はDJブースを備えており、1階はイビザのバーカルチャーを模した作りの立ち飲みバーとして、2階は食事やお酒が楽しめるラウンジスペースとなっている。
THE ROOM
全面禁煙(フレンバーの喫煙も不可)
1992年オープン。
Kyoto Jazz Massiveの沖野修也プロデュースの渋谷にあるお店。各ジャンルの卓越したDJ、プロデューサーが質の高い曲を選曲し、平日を中心にミュージシャンによるライブセッションも開催されている。
豊富なオリジナルカクテルも自慢で、1人で来ても安心して楽しめる雰囲気が人気。
WOMB
メインフロア禁煙(電子タバコは可)
その他のフロア喫煙可
2000年4月オープン。
渋谷道玄坂上にある国内屈指のクラブは、1FにWOMB LOUNGE、2Fにメインフロアがあり、4Fにはサブフロアやバーも兼ね備えたVIP LOUNGEがある。
メインフロアは4Fまで吹き抜けの空間で、フルデジタルのサウンドシステム、3面巨大LEDスクリーン、両サイドスクリーン、レーザーシステムが完備されている。
R Lounge
クラブ内禁煙
喫煙可能エリアあり
2012年12月オープン。
旧店名ROCKWEST時代から含めると約25年渋谷宇田川町でカルチャーを発信し続けており、元旦のアフターアワーズパーティーは毎年恒例となっている。
総面積130坪ある2フロア(6F/7F)の店内では、洗練されたサウンドシステム、ライティングを駆使し最新のダンスミュージックを発信している。
東間屋 AZUMAYA
施設内禁煙
喫煙可能なテラスあり
2019年3月オープン。
渋谷のライブハウス「Spotify O-EAST」の一角に誕生したDJバー。
和を感じさせる非常にモダンでオシャレな内装に、唎酒師(ききさけし)の資格を有するバーテンダーがセレクトする地酒と、日本のスパイスを使ったカクテルが絶妙にマッチする。
東京のアンダーグラウンドなハウス、テクノシーンで活躍するDJたちによって作られる空間は、リアルな東京の夜を感じることが出来る。
Circus Tokyo
1階ラウンジフロアと地下のメインフロアは全面禁煙
室内に喫煙所あり
2015年10月オープン。
渋谷の新南口、並木橋近くにある店舗は、1Fにバーラウンジがあり、地下1Fにキャパ150名ほどのメインフロアがある。
コアでディープな音楽ジャンルを軸に、古きよきダンスミュージックから最新の音楽まで発信している場所。
COUNTER CLUB
フロアは全面禁煙
エントランスに喫煙スペースあり
2019年11月オープン。
古着屋、バー、ライブハウス、劇場などサブカルチャーが集まる下北沢にあるCOUNTER CLUBは、音響メーカー「田口音響研究所」の優れたサウンドシステムとE&Sのロータリーミキサーを採用しているのが特徴です。
ハウスミュージック、ヒップホップ、R&B、ディスコ、ソウルなど、曜日によって変わるイベントと、大理石を素材にしたスタイリッシュなカウンターで、厳選されたお酒と音楽が楽しめます。
ZEROTOKYO
全フロア禁煙
喫煙可能エリアあり
2023年4月オープン。
新宿東急歌舞伎町タワーの地下に誕生した超大型スペース。
360度のLEDビジョンに囲まれた大迫力の「B4 Z HALL」をはじめ、「 B3 RING」「B3 Z LONGE」を合わせた3フロア5エリアで構成されている。
「ENTERTAINMENT JUNCTION」をコンセプトに音楽、DJ、空間演出、パフォーマンスなど、
あらゆるエンターテインメントコンテンツを集め、交差させることで、これまでにない新たなエンターテインメント体験を生み出している。
VENT
メインフロア禁煙
サブフロア喫煙可
2016年8月オープン。
表参道交差点に位置するハウスやテクノを主軸としたクラブ。
TAGUCHIの世界初の新機構サウンドシステムと厳選されたブッキングにより良質な音楽体験を提案しています。
世界初の新機構SRスピーカーによるオンリーワンのサウンドシステムに加えて、音質を第一に考えてアレンジされたスピーカーの位置や壁や天井の素材や角度が、従来では表現しきれなかった別次元の音楽体験を演出しています。
頭BAR (ZUBAR)
フロア禁煙
喫煙室あり
2018年10月オープン。
明治通りにあった旧店舗から道玄坂の新店舗に移転されました。
「魯肉飯(ルーローハン)」や「水餃子」などの台湾料理にも定評があるDJバー。
歌謡曲、HipHop、House、Technoなど幅広いジャンルのイベントが毎日開催されています。
Débris
フロア禁煙
喫煙スペースあり
2018年8月オープン。
代官山の好立地にあるDJバー / クリエイティブスペース。
香港やマカオをイメージさせる派手な看板が印象的で、併設の「P.B.Restaurant」では20種類近くある薬膳酒と本格中華粥が提供されています。
国内の第一線で活躍するDJやアーティストのプレイが楽しめます。
Hven
フロア禁煙
テラスに喫煙エリアあり
2024年3月オープン。
中目黒の高架下にあるクラブで、昼はレストランフロアでカフェ&デリを提供し、テラスでは「THE GOOD VIBES」の熟成肉バーガーが提供されています。
夜はエントランスの場所が裏側に変わり、高さ2.5メートルの照明が並んだ約50mに渡る「The Tunnel」を通るとダンスフロアに繋がります。
Funktion-Oneのスピーカーと直径1.5メートルのミラーボールを模したLEDサイネージが設置されており、テクノとハウスを中心とした音とシンクロするダイナミックな演出を味わうことができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
もしかしたら、聞き忘れているクラブやバーもあるかもしれませんね。
今回の記事は喫煙者のみなさんには、「うるせぇな」という感じだったと思いますが、理想的にはどちらかを優先するのではなく、喫煙者も非喫煙者も同じように快適に過ごせる空間が増えてくれれば良いなと思います。
現状のナイトクラブ業界では、まだまだ分煙、禁煙の施設は少ないという印象ですが、今後、数年先のクラブ、DJバー / ラウンジに変化があるかどうかも注目したいところです。