DJでありプロデューサーのJohn Dahlbäckが、かつてはAIに対して「恐れ」を抱いていたものの、現在では一部のAIツールを自身の音楽制作に積極的に取り入れていることを明かしました。
John Dahlbäckは、Kaskade、Benny Benassiといったアーティストとの仕事や、若き日のAviciiとのコラボレーション(Jovicii名義での「Don’t Hold Back」)など、長年にわたり音楽シーンで活躍してきました。
MusicRadarの新たなインタビューの中で、AIを「楽器」のように捉え、恐怖を抱くのではなく、むしろワクワクしている理由について語りました。
「僕は主にインスピレーションを得るためにAIを使う傾向があります。Splice(サンプル音源サイト)やシンセサイザーを使うのと同じように、AIを一つの楽器として使っているんです。シンセのつまみをいじっているうちに最終的に何かの形になっていくように、僕はAIでも同じことをしています。制作中のビートをAIに読み込ませると、そこからどう展開させていけばいいか、アイデアをくれるんです」
「(若かった頃の)僕はサンプリングにめちゃくちゃハマっていました。当時のサンプルの使い方は、ただ最終的な作品にそのまま組み込むのではなく、それを自分で再現しようとするものでした。僕の場合、AIに対しても同じことが言えます。また、AIを使ったボイスチェンジャー(音声変換)ツールも本当に素晴らしいと信じています。僕の下手くそな歌声でマイクに向かって歌っても、それを美しく素晴らしい歌声に変えてくれるんですから」
「以前の僕は音楽におけるAIを怖がっていたのですが、兄から『AIは最高だぞ』と言われました。ある時、シンガーがスタジオに来てメインボーカルをすべて録音して帰った後、バックボーカル(コーラス)を録り忘れたことに気づいたそうなんです。そこで兄は、彼女のアカペラ音源をAIに読み込ませて、素晴らしいステム(トラック)とバックボーカルを作り出しました。それによってボーカルに厚みが出たんです。僕はそれを聞いて、本当に見事な使い方だと思いました」
また、ダールバックは最近、名前は明かせないものの、「あるかなり有名なスウェーデン人歌手」のプロデューサーと話したエピソードも明かしました。その歌手は、自分が5歳の頃に歌っていたテープを発見したのだといいます。現在、その当時の歌声をAIに学習させ、「彼女が5歳の自分自身とデュエットできるようにする」という計画が進行中です。
「それって、ちょっと信じられないくらい凄いことですよね。僕はそういう使い方なら大賛成です。ただ、先ほども言ったように、誰かが適当にAIを使ってポップソングを(自動生成して)書き出し、それをそのままSpotifyにアップロードするような、雑な使い方は好きではありません。そんなものには何の意味もありませんから」
これは、AIが楽曲全体を生成するような「いい加減に使う」ような使い方は好まないとしつつも、特定の用途、特にボーカル制作においては、AIを有効なツールとして活用しているという立場を示したものです。
John Dahlbäckによれば、AIは音楽制作のプロセスにおいて、新たな表現の可能性を広げるための補助的な役割を果たすことができるとのことです。これにより、クリエイターはより創造的な部分に集中できるとしています。
このスタンスは、AI技術が音楽制作の現場に浸透していく中で、アーティストがどのようにAIと向き合い、活用していくべきかという議論に新たな視点を提供するものです。
今後、John DahlbäckがAIツールをどのように自身のサウンドに取り込み、どのように音楽制作の進化に貢献していくのか、その動向が注目されます。


