デジタル音楽制作の時代において、大型のミキシングデスクを所有することは、かつてほど必要とされていません。
しかし、Jamiroquai(ジャミロクワイ)のフロントマンJay Kayは、バンドのアルバム「Synkronized」で聴くことができるSolid State Logicのミキシングデスクが、今後も彼のサウンドの一部であり続けることを言及しています。
Jay KayはApple Music 1のZane Loweとのインタビューで、しばらく”隠されて”いたデスクを今後の音楽作品のために復活させる計画があることを明かしています。
ジャミロクワイを成功に導いたソウルフルな音楽は、彼らの巧みなプロダクションとエキサイティングなビンテージ機材の使用から生まれたものでした。
Jay Kayは70年代後半に製造されたSSL 4000EとG-Seriesのチャンネルストリップについて話してくれました。
「これはとてもオーガニックな感じがするんだ」
「前2作のアルバムでは使わなかった。…費用の問題ではなく、Solid State Logic EとG-Seriesのデスクを再び稼働させることができる人を見つけることが問題なんだ」
イギリスのメーカーSolid State Logicにより製造された1970年代後半から様々なスタジオに最も多く導入されたミキシングコンソール。古い物から順にB、E、Gシリーズが存在します。
Jay Kayは2005年のアルバム「Dynamite」がSSLのミキシングデスクを使った最後の作品だと言います。
また、Jay KayはSSLデスクへの愛着を公然と表現しているにもかかわらず、以前は売りそうになったことを認めています。
「一時期は誰も使わなくなってたからデスクを処分しようと思っていたんだ。誰かが “5千ドルくらいで売れるだろう “と言ったのを覚えているけど、結局、あれは古いフランスのラブリーな机って感じで売りたくないと思った」※Jay KayはSSLをパリのスタジオから購入したため、”フランスのラブリーな机”と表現しています。
2000年のSound On Soundのインタビューでは、Jay Kayが自分のスタジオにSSLを導入した経緯が掲載されていました。
「スタジオの建設は1998年1月に始まり、その年の7月に完成しました。この間、JamiroquaiのエンジニアであるRick Popeはパリのスタジオから購入したSSL E-SeriesとG-Seriesコンピュータを含む主要な機器を探しました。私たちは商業施設ではないので、24時間体制のメンテナンススタッフを雇っているわけではありませんから、メンテナンスが容易であることは重要です。Jay Kayは、SSLが非常に信頼できるものであることと、SSLの本社がすぐ近くにあることから、SSLを希望しました。適切なコンソールを探し出すのにしばらく時間がかかりましたが、その後スマート・リサーチ社で徹底的なオーバーホールが行われました。最終的に戻ってきたときには新品と見分けがつかないほどきれいになっていました」
ジャミロクワイは近日、デビュー30周年を記念して『High Times: The Singles 1992-2006』が初アナログ化されるほか、『Emergency On Planet Earth』など3タイトルのアナログが再発されます。
全インタビューは以下の動画からご覧いただけます。(英語)