『Audio Test Kitchen』300種類のマイクを音質比較出来るサイト
スタジオのマイクを購入するときは、試聴が非常に重要です。しかし、数多くマイクが存在する中、それら全てを試すことは困難で、どのマイクが自分に適しているかを知ることは簡単なことではありません。
この問題を解決するために、Alex OanaとIan Hlatkyは、これまでに行われた中でも、最も野心的なオーディオ比較プロジェクトである「Audio Test Kitchen」を開発しました。
「Audio Test Kitchen」では、300種類のマイクの中から好きなマイクの音を比較し、同じ条件で正確に録音されたオーディオファイルを切り替え試聴することが出来るので、今後、不要なマイクの購入でお金を無駄にすることがなくなるかもしれません。
革新的なオンラインバーチャルマイクショールーム「Audio Test Kitchen」は、8万人のユーザーが利用し、140万回試聴されたことを記念して、「Audio Test Kitchen 2.0」をリリースしました。
ATK2.0は、20倍のスピードアップ、25の新しいソース、200以上の新しい開封動画、インスタント・オーディオ・スイッチング、Spotifyとの連携による使用されたマイクの録音作品の試聴など、パフォーマンスとコンテンツの大幅なアップグレードが行われました。
65のメーカー、Harman InternationalとLAのレコーディングスタジオの研究者がこのリソースの実現に貢献し、MusicTech Expertやグラミー賞にノミネートされたエンジニアのJesse Ray Ernster、グラミー賞を受賞したエンジニアのTony Maseratiを含む15人のオーディオエンジニアもATK2.0を最高のものにするために専門知識を提供しました。
「Audio Test Kitchen」の驚くべき部分は、マイクの周波数特性のエミュレーションではなく、実際に全てのマイクを使用し、音が録音されていることです。
彼らは、ドラムのパーツを演奏するためにロボットを使って、それぞれの演奏が全く同じになるように録音し、他の楽器では、演奏者に実際のパートを録音してもらいました。
録音したものを無響室に入れて、マイクで録音するためにスピーカーとアンプを調整し、レーザーを使って三次元のターゲットを作り、ロボットのマイクスタンドを使いました。こうすることで、各マイクを正確に同じ場所に配置することが可能となりました。
ATK2.0には以下のような機能があります。
- 300本のマイクの試聴
- 各録音楽器のソロ、全体の試聴切替
- ループ試聴機能
- サーチフィルターによる絞り込み検索
- “Mystery Mic”でランダムなマイクを割当
- ブラインドモード
- 各マイクごとにメモ機能
- お気に入りに追加(Cupboardと呼ばれている)
- 周波数特性の比較
- スペック比較表
- 360°のマイク外観チェック
- Spotifyで使用例の試聴
- 開封動画
などなど。
サイトは完全に無料で利用でき、ユーザー登録をすることで、セッションをセーブすることが可能になり、マイクの感想をメモに残したり、ブラインドテストを行うことが出来るようになります。
ユーザー登録をすると、ホーム画面左上に「+」ボタンが出現するので、クリックすると”New Session”を作ることが出来ます。新規セッションを作成しないと、せっかくマイクを選んで、メモを書いても何も記録されないので、まずは最初にユーザー登録をして、新規セッションを作成することをおすすめします。
サーチフィルターで絞り込み検索が出来たり、
ブラインドモードでテストし、メモを残して後で確認することが出来たりします。
実際に使用してみた感想として、じっくり聞いていると、それぞれのマイクにはかなり違いがあることがわかります。マイクを選んでからオーディオファイルが切り替わるのに少しタイムラグがありますが、許容範囲のレベルと言えそうです。
個人的にはSony C800GとNeumann U47 FETが好みでした。他の定番と呼ばれるマイクも色々と試してみたところ、案外好みでないものも多く、きっちりと比較が可能なサイトだと感じました。
高額なマイクは良いマイクである傾向が強いですが、必ずしもそうであるとは言えず、かなり高額なマイクでも全く良いと感じないマイクがあったりと色々な発見がありました。
楽器屋に行っても全てのマイクが置いてあるわけでもないですし、店に遠慮して実際には数本のマイクしか試すことが出来ないことを考えると、このサイトの音質が全てではないとはいえ、今後、マイクを購入する時は無駄な出費と時間の浪費を抑えることが出来るのではないかと思います。