Pal Joey(パル・ジョーイ)
Pal Joeyはハウスミュージックファンであれば一度は耳にしているであろうトラックをいくつもリリースしていますが、なかなか表舞台に現れることが少なく、謎の多い人物です。
ニューヨーク州立大学に通っていた頃に、当時誕生したばかりだったヒップホップ・サウンドに魅了されてDJを始め、4トラックのオープンリール・テープレコーダーやドラムマシンなどの機材を買い揃えながら、レコーディングスタジオの世界に身を置きました。
Run DMC、LL Cool J、EPMDといったアーティストたちの名曲を次々に生んだスタジオ「Power Play Studios」でインターンとして働き、ヘッドフォンの修理、機材の発注、テープマシンの調整、マニュアルのコピーなど雑務をこなしながら音楽のノウハウを吸収し、すぐにセカンドエンジニアの座につきました。
エンジニアであったことと同時に、レコードショップ「Vinylmania」の店員でもあったために、Pal Joeyの元には若手ハウス・ミュージシャンがアドバイスを求めてくることが良くあり、ニューヨークのハウス・シーンのアイデンティティの形成に貢献しました。
89年以前は、頻繁にはトラックリリースをしていなかったPal Joeyですが、ついに本格的にトラックを制作するようになります。
2つの名義を使い分け、「Underground Classic」というタイトルを名付けたスプリットシングルをKool Groove Recordsからリリースしました。
同作にはPal Joeyを象徴する2作、Earth People名義の「Dance」、Soho名義の「Hot Music」が収録されています。
Earth People – Dance (Club Mix)
Soho – Hot Music
前者はChicとCarl Beanの曲をサンプリングしたダンス・ナンバーであり、ディスコをループするという手法が流行する何年も前の楽曲であるにもかかわらず、現在でも新鮮さを感じさせるものとなっています。
後者はWynton Marsalisの曲のほんの一部をサンプリングしてループさせ、トリッキーなドラムと組み合わせて独自のグルーヴを醸し出す唯一無二の名曲であり、後にEPMDやK-OS、Missy Elliot、Ghostface Killahなどにサンプリングされています。
この2作で華々しいデビューを飾ったPal Joeyは、その後も複数の名義を使って、自身のレーベル「Loop D’ Loop」や「Cabaret」(※東京に同名のレーベルがありますが別のレーベルです)などから次々とレコードをリリースしていきます。
中でも代表的なのはDreamhouse名義のパーティー・チューン「I Can Feel It」、Espresso名義のテクノ「Lets Get Down」などがありますが、他にもHouse Conductor、Beautiful People、Roots Foundationといった名義の楽曲も必聴です。
自身の楽曲以外には、Eric B & Rakim、Boogie Down Productions、The Orb、Deee-Lite、Sade、Brand New Heaviesなどの作品にエンジニアやプロデューサー、またはリミキサーとして関わり大きな功績を残しました。
Pal Joeyのおすすめ曲
Pal Joey – Movin Up
Pal Joey – Love Me Tonight
Pal Joey – One of a Kind
Pal Joey – Check Out
Pal Joey – Subway Series