The Shapeshifters(ザ・シェイプシフターズ)

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The Shapeshifters(ザ・シェイプシフターズ)

どこか懐かしい感じのするディスコ・リスペクトなトラックが特長のThe Shapeshifters(ザ・シェイプシフターズ)。Frankie Knukles(フランキー・ナックルズ)やNile Rogers(ナイル・ロジャース)などビッグネームとの仕事をこなし、人気レーベルDefected Recordsと契約。Beatportチャートで7週連続No.1を獲得した、まさにゼロ年代のハウスプロデューサー。

スウェーデン・ヨーテボリ出身のMax Reich(マックス・リーチ)が抜け、現在は一人、イギリス・ロンドン出身の Simon Marlin(サイモン・マーリン)にて活動中。すでにベテランの風格漂う彼(ら)を紹介します。

90年代より音楽キャリアをスタートしたサイモンは、DJミックスをCDで最初にリリースしたレーベル「Journeys By DJ」にてA&Rを担当。Paul Oakenfold、Farley & Heller、そして現在でもベストDJ Mixと言われるColdcutのCDをプロデュースします。

’96年より、ダンストラック12inch専門レーベル「Downboy Record」のA&Rに就任。そこに在籍していた、スウェーデン在住の2人組「Fused」が非常に良い曲をプロデュースしていたため、A&R業務の一環として、Fusedのいるスウェーデンへと会いに行きます。

Fusedは「This Party Sucks」という曲がヒットしたバンドで、Peppermint Jamでのアルバムリリース後、Sonyと契約。シングル「Twisted」「Terror」といった曲がヒット。しかしFusedでやりたいことは、すべてをやりつくしたと感じたマックスは、2003年にFusedを脱退します。

サイモンはロンドン・ブルームスベリーにあるクラブ「The End」に併設のバー「AKA」にてDJ活動をスタート。最初はPeppermint Jamのパーティ、そして自身の「Nocturnal」というパーティ名でホストDJを務めます。The EndはRoni Size(ロニ・サイズ)や Fat Boy Slim(ファットボーイ・スリム)がレジデントしていた1000人規模のクラブ、2009年に閉店しています。

Journeys By DJ Coldcut
Fused「This Party Sucks」
The END/AKA

彼はA&RやDJをしながら自分の道を模索しており、そろそろスタジオに入ってプロデュースを始める時期だと考えていました。そこで、優秀なビートメイカーであるマックスに「一緒にスタジオで曲を作ってみないか?」と相談していました。

ある日、当時サイモンの妻だったLolaさんと、ロンドン北西部Maida Valeの自宅の部屋で古いレコードを聴いていたところ、Johnnie Taylor(ジョニー・テイラー)の「What About My Love」がかかります。サイモンはこの曲は知っていたものの、特に、最初の16小節に何か特別なものを感じました。

もう一度レコードの針を最初に戻し、ピッチを+4に上げてみて、すぐマックスに「明日スタジオに行こう、アイデアがひらめいた」と電話したといいます。

Johnnie Taylor – What About My Love(1982)

Johnnie Taylor「What About My Love」(1982/Beverly Glen Music)

このサンプリングのアイデアで、インストのイメージは出来上がっていたものの、さらにAnthony White(アンソニー・ホワイト)の「Love Me Tonight」から「‘I’m a different person/Turn my world around’」の部分を抜き出し、アレンジして、ヴォーカルパートを作成。

Anthony White – Love Me Tonight(1994)

Anthony White「Love Me Tonight」(1994/UMM)

2003年の冬、できあがった曲を12inchで500枚プレス。ホワイトレーベルに連絡先の電話番号だけが書いてある、得体の知れないレコードが出回ります。2人がアメリカに行っている間に、ディストリビューター、レコードショップ、レーベル関係者などから大量の留守番電話メッセージが残されていました。

急きょ追加で1000枚をプレスするも即完売。そして毎年マイアミで開催されているMiami Winter Music Conference、WMC2004に行くと、自らがプロデュースした「Lola’s Theme」が席巻しているのを目の当たりにし、ファーストリリースのヒットを確信します。

この「Lola’s Theme」はEMI傘下のPositivaへのライセンスが決まりますが、サンプリング・ロイヤルティやリーガルバトルを回避するため、Sampling Replayerとして有名なMark Summers(マーク・サマーズ)に依頼し、ジョニー・テイラーのサンプリング部分をブラス/ストリングスで弾き直します。

またサイモンはヴォーカルが必要ないと考えていたものの、Positivaがラジオプレイのためにはヴォーカルが絶対必要とプッシュし、ヴォーカリストとして数名を検討。候補の中から、ロンドン・コミュニティ・ゴスペル・クワイヤで歌っていたCookieが選ばれます。つまりPositivaバージョンはサンプリングではなく、原曲を弾き直し、歌い直した「カヴァー」という扱い。

The Shapeshifters – Lola’s Theme(2004)

The Shapeshifters「Lola’s Theme」(2004/Nocturnal Groove)

Cookieが参加したことが功を奏し、テレビ番組にてライブ出演も可能になり、Lola’s ThemeはUKポップチャートNo.1に輝きます。惜しくもBrit Pop Awards受賞は逃すものの、この年ラジオで一番かかっていたのは自分たちの曲だったとサイモンは回想しています。

2005年、セカンドシングル「Back To Basics」、サード「Incredible」リリース。どちらもディスコテイストのヴォーカルハウスで、好評を博します。

2006年、ナイル・ロジャース率いるChicとコラボレーションした「Sensitivity」をリリース。ナイルの有名な白いギターがスタジオに置かれていた時は興奮した、とサイモンは言います。

The Shapeshifters and Chic – Sensivirity(2006)

The Shapeshifters and Chic「Sensivirity」(2006/Positiva)

同年アルバム『Sound Advice』を発表。これまでのシングルリリースを含み、ダウンテンポのトラックも入った全12曲。DJの方も好調で、PachaやSpaceで数年間レギュラー出演、フェスへの出演も多くなります。

2008年からはDefectedと契約し、シングル、アルバム共にコンスタントにリリース。デジタルセールスでも高評価を得ます。

2009年、フランキー・ナックルズと共に「The Ones You Love」をリリース。セカンドシングルの「Back To Basic」を気に入ったフランキーから連絡があり、そこから友情が芽生え、コラボレーションに至ったとのこと。

2013年アルバム『Analogue to Digital…And Back Again』を発表。フィジカルとデジタル両方のリリース。2017年にマックスが脱退するも、サイモンは一人でツアーやリリース、Remixワークを続けます。

2019年には、ChicのリードシンガーであるKimberly Davis(キンバリー・デイヴィス)とコラボレーションしたシングルを2枚、DefectedのサブレーベルGlitterboxより発売。

The Shapeshifters feat.Kimberly Davis – Life Is A Dancefloor(2019)

The Shapeshifters feat.Kimberly Davis「Life Is A Dancefloor」(2019/Glitterbox)

2020年、アメリカ人シンガー兼俳優 Billy Porter(ビリー・ポーター)とのコラボ作「Finally Ready」を発表。ビリー・ポーターは90年代よりR&Bの歌手として活躍していましたが、この曲がターニング・ポイントとなり、ダンスミュージック/ディスコに目覚め、以降はダンスアルバムを発表。

元々サイモンが、ビリーのテレビ番組「Pose」のファンで、彼の歌声が好きだったことから実現したこの企画。ストリングスやホーンを生演奏で録音している様子がビデオに収められており、アコースティックで本格的なサウンドを重視していることが見てとれます。

The Shapeshifters feat. Billy Porter – Finally Ready(2020)

The Shapeshifters feat. Billy Porter – Finally Ready(2020/Gritterbox)
※最後のショットでふたりの真ん中にいるヒゲのオジサンはDefectedのボス、Simon Dunmore

デビュー作が12inchの自主制作ホワイトレーベルからスタートで、そのオールドスクールなやり方に誇りを持っていたというシェイプシフターズ。

グラスゴーのクラブ「The Arches」にてDavid Guetta(デヴィッド・ゲッタ)の後に出演した際、サウンドシステムがCD用に調整されていたため、レコードに切り替えた途端に音量が下がり、同じゲインが得られず、CDでのプレイに切り替えたのが、はじめてのCDJ。2006~2007年を境に12inchからCDへのDJプレイに切り替えたと言います。

テクノロジーの変化の瀬戸際のタイミング、本当にそれが良いことかどうか自問自答したけれど、適応していくしかなかった、とサイモンは後に語っています。

メディアや販売形態が変わっても、ディスコ・リスペクト、ストリングスやブラスを多用した、オーセンティックでアップリフティングなトラックを提供し続けるシェイプシフターズ、今後もソウルフルな新曲を届けてくれることでしょう。

The Shapeshiftersのおすすめ曲

The Shapeshifters – Back To Basics(2005)

The Shapeshifters「Back To Basics」(2005/Nocturnal Groove)

Frankie Knuckles and The Shapeshifters – The Ones You Love(2009)

Frankie Knuckles and The Shapeshifters「The Ones You Love」(2009/Nocturnal Groove)

The Shapeshifters feat. Teni Tinks – Try My Love(2018)

The Shapeshifters feat. Teni Tinks「Try My Love」(2018/Glitterbox)

The Sharpshifters feat. Teni Tinks – When Love Breaks Down(2022)

The Sharpshifters feat. Teni Tinks「When Love Breaks Down」(2022/Glitterbox)

The ShapeshiftersのDJ

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