Tech House(テックハウス)とは?
テックハウスはそのまま解釈すれば、テクノの要素が入ったハウスのことです。テックハウスを理解するには、まずはテクノとハウスを知る必要がありますので、まずはテクノとハウスの違いを簡単に説明します。
テクノとハウスの違い
テクノはKraftwerk(クラフトワーク)などのシンセポップがルーツとなりますが、現在のテクノの形に発展したのは80年代前半に生まれたデトロイトテクノ以降となります。Juan Atkins、Derrick May、Kevin Saundersonの3アーティストを中心に発展して行きました。
Kraftwerk – The Robots
Rhythm Is Rhythm – Nude Photo
一方、ハウスミュージックは、70年代後半にニューヨークのディスコミュージックシーンがシカゴに持ち込まれて発展し生まれました。
ニューヨークのParadise GarageのレジデントDJであったLarry Levanが、ハウスのルーツとも言える強いビートのディスコサウンドを広め、シカゴのWarehouseでプレイする親友のFrankie Knucklesに大きな影響を与えました。
Frankie KnucklesやRon Hardyが、ディスコサウンドにドラムマシンの使用などを加えて、そこからハウスミュージックとして発展していきました。
Ripple – The Beat Goes On And On
Marshall Jefferson – Move Your Body
ルーツは違うものの、デトロイトテクノはシカゴと地理的に近いこともあり、シカゴハウスの影響を受けながら発展しました。なので、2つのジャンルには類似点が多いですが、特徴を挙げるとすれば以下のようなものがあります。
・シンセポップがルーツで、デトロイトでデトロイトテクノに発展
・120-140bpmぐらい
・直線的なリズム感
・ダークな曲調が多め
・打ち込みのドラム・シンセサイザーを多用
・ミニマルな展開が多め
・ディスコミュージックがルーツで、シカゴでハウスミュージックに発展
・100-130bpmぐらい
・跳ねたリズム感
・華やかな曲調が多め
・レコードからのサンプル音を多用
・コード感のある展開が多め
あくまでも傾向なので、全ての曲に当てはまると言うことではありません。例えばテクノに華やかな曲や、跳ねたリズム感のある曲もあれば、ハウスにダークな曲や、ミニマルな展開の曲もあります。
時代の流れと共に、デトロイト発のテクノミュージックもシカゴ発のハウスミュージックも現代的なサウンドへと洗練されていき、その過程でテックハウスが生まれました。
テックハウスの音の傾向
テックハウスの音の傾向としては、
- タイトなドラムトラック
- マイナーキー、もしくはマイナーコードの使用が多い
- コード進行は少なめ
- 跳ねたリズム感
- シンセサイザーでの音作りが多い
- メロディー音も含めてリズミックな構成
- ホワイトノイズやライザーなどでセクションの変わり目に派手な装飾をする
- ジャンプするようなノリではなく、ハマる感覚を重視したノリ
などが挙げられますが、テックハウスは色々なハウスミュージックのサブジャンルの中でも特に柔軟性があると言えます。
Tech Houseはハウスから生まれた?テクノから生まれた?
厳密にテックハウスがいつ生まれたと答えを出すのは難しいでしょう。テックハウスはテクノ、ハウス、双方が良い部分を取り入れ続けた結果、歩み寄って生まれたというのが正解と言えそうです。
90年代後半以降にテックハウスと言える音がヨーロッパを中心に増えていきました。そして、現代では細分化が非常に進んでいるため、テックハウスというカテゴリー内でもその音は様々です。さらに細かく分けると、3つのサブカテゴリーに分けることが出来るでしょう。
- テクノ、ハウスから派生したTech House
- ミニマルから派生したMinimal Tech House
- ディープハウスから派生したDeep Tech House
テクノ、ハウスから派生したTech House
Sebastien Leger – Like Before
Michel de Hey – Vodka (Coyu & Edu Imbernon Remix)
Claude VonStroke – Beware of the Bird
ミニマルから派生したMinimal Tech House
Butch – On The Line (Oxia Remix)
Gabriel Ananda – Miracel Whop
Sebo K & Metro – Saxtrack
ディープハウスから派生したDeep Tech House
Terry Lee Brown Jr. – Edge of space
Kawabata – Movin’ On
Lawrence – Place To Be
ご覧のようにテックハウスの中でも様々なスタイルが存在することがわかります。四つ打ちであれば、ほとんどがテックハウス化することが出来るため、間口が広く、世界的に非常に人気のあるジャンルとなっています。言い換えれば、必ず自分好みのテックハウスが見つかるとも言えるかもしれません。
テックハウスのおすすめ
Aubrey – Marathon
Nic Fanciulli – Understand
Paul C & Paolo Martini – Woom
Patrice Bäumel – Flow
Ramon Tapia – Karma
Mark Knight & Wolfgang Gartner – Conscindo
Roberto Surace – Joys (Purple Disco Machine Extended Remix)
Ninetoes – ‘Come Back’
Bushwacka! – 8
Mr. C – Electroniche
Isolée – Beau Mot Plage