Simon Dunmore(サイモン・ダンモア)
Defected recordsの経営者でありA&RでもあるSimon Dunmoreはイギリスのダンスミュージックの歴史に確実にその名を刻んでいます。
Simonは自身のレーベルに関して常に明確にビジョンを持っています。その彼の信念は多くのダンスミュージックを愛する人の尊敬を集めています。
80年代、Simonはロンドンの有名レコード店「Soul&Disco Center」で働き始めました。同時に「Blues&Soul Magazine」への執筆、自身で「The London Soul Circular」というファン雑誌を作成しながらロンドンのソウルミュージックシーンで活動していました。当時からSimon は熱狂的なバイナルコレクターとしても有名で、82年にDJとしてのキャリアをスタートさせました。
SimonのDJとしての評判は全英を超えて、85年には商業化される以前のIBIZAでのプレイを成功させました。
90年からはレーベル「Cooltempo」でA&Rとしても活動を始めます。Arrested Development、GangStarr、Kenny Thomasといった人気アーティストとの契約を交わしました。
95年にはA&M傘下のレーベルAM:PMに移籍します。ここでもUltraNatéの 「Free」、 Mousse Tの「Horny」、 Roger Sanchezの「Another Chance」など名曲の契約を成功させ、レーベルを軌道に乗せます
これらの経験を通してオープンなマインドと確かな耳を培った後、1999年に自身のレーベルDefected Recordsを創設しました。記念すべきリリース第一弾はSoulsearchers「Can’t Get Enough」この曲はいきなり全英チャートトップテンヒットを記録しました。
Soulsearcher – Can’t Get Enough
その後、Defectedは破竹の快進撃を見せ、世界最大級のハウスミュージックレーベルとなり、さらに2014年にはサブレーベルであるGlitterboxを開始しました。ヨーロッパを中心にパーティー、フェスティバルのオーガナイズも行われ、楽曲リリースのみならず、Defectedはオーガーナイザーとしても大成功を納めています。
Simonの夢は、Motown、Philly International、Salsoul、Strictly Rhythmといった偉大なレーベルと並んでDefectedのレコードを棚に並べてもらえるようになることだと語っていました。いまやその夢は叶えられたのではないでしょうか。
Defected Recordsは約20年の月日が経過し、シーンの状況が目まぐるしく変化した現在もダンスミュージックレーベルのトップを走っています。良質な作品を多数リリースし続けながら、商業的な成功も納め続けているのはSimon Dunmoreの功績であるといえます。A&Rやレーベル運営などのビジネスマンとしての手腕、DJを通じた表現者、2つの顔を持ち、どちらの世界でも成功を収めた稀有な存在であると言えます。
2022年にDefected Recordsのレーベル売却に伴い、Simon DunmoreはCEOを退任しました。
新CEOとして、2014年に入社した元マネージング・ディレクターのWez Saundersが就任しています。
Wez Saundersは銀行と持ち株会社を通じて担保契約を結び、会社の買収資金を調達し、話し合いの末、Simon Dunmoreから買収の合意を得たようです。
Simon DunmoreはCEO退任後も引き続きA&RコンサルタントとしてDefected Recordsで働いています。