DJセットやフェスなどのナイトライフ体験を記録し、ユーザー同士でパフォーマンスを評価できる新アプリ「Seen Live」が、ダンスミュージックシーンで大きな議論を呼んでいます。
UKのクリエイティブ・エージェンシーTough Luck Creativeが開発したこのアプリは、イベントのログ保存や写真共有に加え、DJプレイを採点する機能が備わっていました。
しかし、フロアでの自由な体験を数値化する試みに対し、アーティストやクラバーから懸念の声が相次ぐ事態となっています。
批判の中心にあるのは、主観的な音楽体験やDJのパフォーマンスを評価スコアへ落とし込むことへの抵抗感です。人間の表現やフロアの熱量を数値化する行為は、クラブシーンが持つ自由な創造性を損なうと懸念されました。
さらに、DJ間での不当な低評価合戦や偽レビューの拡散、女性アーティストに対する誹謗中傷の場と化すリスクを指摘する声も上がっています。
このアプリに対して、シーンで活動するアーティストたちも様々な思いを口にしています。
「絵画を見てすぐに星をつけて評価しないように、クラブでの体験も採点せずそのまま感じて記憶に残すべきだ」といった声や、「観客の評価を気にするDJは芸術的な表現者とは言えない」といった意見があり、周囲の評判に左右されない姿勢の大切さを強調しました。
「職人技の価値を下げている」と疑問視する一方で、会場でのスマートフォン利用を助長する別のツールへの警戒感も示しています。
こうした否定的な反応や議論を受け、アプリの開発元は評価機能を削除する方針を固めました。運営側は元々、一箇所で体験を振り返り新しいアーティストに出会える場を目指すポジティブな意図があったと説明しています。
自身の思い出を振り返るアーカイブ機能自体を歓迎する声もあったものの、数字で測れない音楽体験の尊さを守ろうとするシーン全体の姿勢が、今回の機能変更へとつながりました。

