Diorのパリコレ音楽をFred Again..が担当
2026年6月24日、Musée Nissim de Camondo(ニッシム・ド・カモンド美術館) にて開催されたDior プレタポルテ2027SS Mensにて、音楽ディレクターをFred Again..さんが担当。未発表音源を中心に17分間のオリジナルミックスを披露。以下はアーカイブ映像。
通電ノイズが鳴っているところに最初のモデルが登場し、携帯をつなぐところから音楽がスタート。
以前「パリコレでDJする方法」にて紹介しましたが、Diorは現在J.W.Andersonがヘッドデザイナー。自身のJWAのロンドンコレクションを2008年からスタートし、2013年にはLVMHが買ったスペインの瀕死バッグブランドLOEWEのCDに就任。ADにM/M PARISを迎えロゴをリニューアル、ブランドを刷新、アパレルもスタートさせ大躍進。
その手腕を買われて2026年、総本山DiorのCDに就任しましたが、元々Diorの音楽は長い間、Michel Gaubert(ミシェル・ゴベール) さんが担当していたところを、LOEWEの最後にFrédéric Sanchez(フレデリック・サンチェス)さんに変えて「音楽家は自分が選びます」と宣言していました。
メンズのアパレル部門に関しては、Louis Vuittonのファレルが、ファッションショーとしては異例のYoutube/Insta/Tiktok視聴回数を叩き出しており、これがLVMH社内のベンチマークとなって「ライブ中継やるからには、これぐらい数字を取れ」というお達しが出て、この人選になったと思われます。
JWAはFred Again..さんと元からお友達とのことで、フレデリックさん選曲のDior Ladies 2026SSでもFred again.. と Brian Eno の共作用曲「C’mon」が使用されており、今回のコラボは数字とクリエイティブの両方の希望が実現したもの。

今回はFred Again..さんにして大正解、視聴回数的には大成功だったとのことです。人気があれば、DJでもパリコレのトップブランドで選曲ができるようになりました。老害オジサンの治外法権がLVMHの中でLVのメンズとレディース、Diorのメンズという3つに増えたことになります。今後もさらにDJの登場が増えて、ハウスやテクノがたくさんかかるショーが増えることを期待します。
ただし実はこのショー、モデルにK-POPアイドルを起用したそうで、コメント欄がそのファンのコメントであふれかえっていました。Diorとしては異例の高視聴回になりましたが、Fred Again..さん効果ではなく、K-POP効果と思われれます。
それともうひとつ問題なのは、Louis Vuittonのメンズでいくらファレルのショーが10M回再生されても、Louis Vuittonのメンズの売上がちっとも上がっていないこと。
DiorはHomme時代にエディ・スリマンが劇的に売上を伸ばし、その後で下がっているので、LV×ファレルでも無理なのに、JWA×Fred Again..でメンズの売上が上がるかどうかは微妙。ファレルのファンはヴィトンのバッグを買うかもしれませんが、Fred Again..さんがDiorの服を着ているところは想像がつきませんし、彼のファンがDiorの服や香水を買うとは到底思えません。
頼りにしていた中国系のお金持ちがブランド物にお金を使わなくなり、現在のところ、ラグジュアリー業界全体の調子が悪いんだとか。いかにショーが高視聴率で、どんな人気アーティストが音楽をやっていても、世の中のお金持ちのおサイフ事情とは全然関係ないらしいです。
そもそも戦争やら物価高やら気候変動やらで「服を買いたい」「ファッションにお金を使ってもいい」と思える世の中ではなくなったので、このままファッションはファンタジーの世界になるのか、どんどん暗くてアンダーグラウンドでディストピアな世界になるのか、そしてもうひとつの可処分所得の支出先である音楽はどうなっていくのか、今後も注目です。


