Crushing on Female DJs [女性DJのプレイを聴いてみる]

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80~90年代は、イカツいゲイやオッサンばかりだったハウスDJですが、最近ではオシャレな女性ハウスDJもいらっしゃるということで、注目のフィメールDJを紹介します。

世界の大舞台を踏んでいる、根性のすわった女の子ばかり。直近のDJスケジュールを見ても、ロンドン~オランダ~NY~クロアチアなど行ったり来たりで、大活躍の方々なので、今後、東京でも見る機会があるはずです。

目次

Ash Lauryn(アッシュ・ローレン)

デトロイト生まれ、アトランタ育ち。2016年からDJをスタート。ロンドン、ベルリン、アムス、東京など世界中にてDJプレイ経験あり。オリジナルトラックやRemixワークのリリースもあります。ブラックアメリカン・レペゼンが活動コンセプト。

以下はLot Radioからのミックスですが、ヒップホップ・インフルーエンスも見え隠れしながら、終始落ち着いた感じでディープハウスをプレイ。

近年ご出産されたそうで、ママ活とDJ活動をミックスした、ベイビー&キッズ同伴OKのイベント「Mother May I(マザー・メイ・アイ)」をスタート。昨年は新譜リリース、今年もスイスやLA、クロアチアなど大規模フェスへの出演が決まっています。

Tsha(ティーシャ)

ⒸNicole Ngai/Ameria Studios

1992年生まれ、英国サウスイースト、ヘンプシャーのFareham出身、Tsha(ティーシャ)ことTeisha Matthews(ティーシャ・マシューズ)さん。グラミー賞にもノミネートされた、大人気のブリットガールDJ兼プロデューサー。

アーバンダンスを学ぶためにロンドンに移住、イーストロンドン大学に入学するも、健康上の理由でドロップアウト。生活費を稼ぐためにR&Bなどをかける「ウェディングDJ」をやりつつ、オンライン講座で作曲やピアノを学び、25歳にしてトラックメイキングをスタート。

2018年シングル「Moon」がDua Lipa(デュア・リパ)に気に入られ、ツアーに同行。2022年にはアルバム『Capricorn Sun』をリリース。2023年にはDiplo「Let You Go」が、グラミーのベストダンス・エレクトロニック・レコーディング部門にノミネート。

こちら↑Defectedによるイビサ海上ボートDJ。他にもBoiler Room、Mix Mag、DJ MagなどにいろんなMixが上がっていますが、どの回も若いのによく知ってるなという古いトラックが結構かかります。

今年2026年は主にイビサでDJしつつ、時々ロンドンに戻りつつ、主要な夏フェスへも出演、ほぼスケジュールが埋まっています。2023年にFuji Rockに出演したらしいのですが、ぜひ単独クラブ公演で再来日してほしいところ。

PARAMIDA(パラミダ)

ドイツ出身。2014年には自身のレーベル「Love On The Rocks」をスタート。2020年よりPanorama Barにてレジデント。2026年1月には東京で単独公演しています。

パノラマバーの人ということで普段はテクノな選曲ですが、ハウスの人でも聴きやすい、ファンキーなMixを選んでみました。

かわいらしい服を着て、髪もバッチリ巻き、DJには見えませんが、いつもお嬢様ファッションでDJしています。オッサンDJはスポンサーのTシャツ着るぐらいがせいぜいですが、女の子DJはレコード代はおろか、衣装代やヘアメイク代もかかっているのかもしれません。

Anastazja(アナスタシア)

Ⓒjeffrey.ac

2001年、シカゴのノースウェスト郊外生まれ、サザン・カリフォルニア大学にてメディア・アーツのディグリーを取得、現在NYC在住のAnastazja(アナスタシア)。お母さんがポーランド系ということで、少し変わった名前の綴りはポーリッシュ由来。

長年ダンスを習っていたものの、大学生時代、ロックダウンの時にベッドルームDJをスタート。すぐにクラブデビューし、ロンドンやイビサなどヨーロッパでもDJ出演。現在25歳と若手ながら、SoulectionやKeinemuzikなどテイストメイカー的なレーベルからサポートを受けている要注目DJ。

こちらシカゴ発エレベーターミュージックからのハウスセット。ハウスではなく、トラップやD’n’B、ダンスホール、アマピアノ、ブラジリアン・ファンクなど縦横無尽にかけるセットの時もあります。

キャリアが浅いので、自分の得意な感じがどこなのか、まだちょっと迷っているように見えるのですが、「旅をして、その土地のカルチャーをその都度吸収し、ジャンルを決めずに五感でスピンする」という、ノマド的で実験的な生き方そのものをプレイスタイルとしている新世代とのこと。「ハウスDJ」とか「テクノDJ」とかいうのはもう古いらしいです。

Honey Dijon(ハニー・ディジョン)

シカゴ出身、Derrick Carter(デリック・カーター)とDanny Tenaglia(ダニー・テナグリア)をメンターに持つ、デトロイトテクノとシカゴハウスとNYトライバル直系の、90年代から活躍する活動歴の長いDJ。

デリック・カーターはシカゴハウス第二世代のデビューを見届けた後、一時期ロンドンに移住していたので、タイムライン的に考えて、その間にハニーさんはNYに引っ越したと思われます。

Twilo、Panorama Bar、Spaceなど世界中のクラブに出演し、Louis VuittonやRick Owensのファッションショーの音楽を担当。ハイファッション界の「Muse DJ」でもあります。

2017年、初アルバム発売。MadonnaやLady Gaga、BeyoncéのRemixを手掛け、知名度抜群なうえ、DJもテクニカル。近年ベルリンに移住し、ヨーロッパでの出演が増えました。今年4月に新アルバム『The Nightlife』を発売、各メディアから高評価を得ています。

アメリカ人からしてみたら、DJネームがChick-Fil-Aのソースで覚えやすいのですが、もともと本名が「Honey Redmond」。正式な名前として「ハニー」は非常にめずらしいです。

Peggy Gou(ペギー・グウ)

韓国出身、ベルリンを拠点に活動しているペギー・グウさん。Ninja Tuneや!K7、XL Recordingsといった人気レーベルからリリースのある、シンガーソングライター兼プロデューサー。コーチェラやSónarにも出演済み。現在DJ Mag Top100 DJsにて12位、2023年は9位かつハウスDJの最高位。

こちら2018年のDJ Mix。インダストリアル系で暗く、ちょうど今っぽい感触の音。

DJデビューがロンドンのCirque Le Soirという、何ともすごい経歴ですが、このCercle全盛期の映像の場所も、建物の外観がバロック調のシャトーで、フランスで最も大きな美術館のひとつ、ドラクロワやラファエロなど由緒正しい作品が所蔵されているところだそうです。

今年2026年は、マドンナ様の新ダンスアルバム先行シングルのオフィシャルRemixを担当。アルバムダイジェスト的なMegamixのPVにはハニー・ディジョンさんがカメオ出演していました。

MËSTIZA (メスティーザ)

アルバセテ出身のPitty Bernad(ピティ・ベルナド)さんと、マラガ出身のBelah(ベラ)さん、スペイン美女ふたりによるフラメンコDJデュオMËSTIZA(メスティーザ)。

ご覧の通り、アフロハウス+フラメンコでライブ・パフォーマンスする、新しいタイプのDJ。今年のコーチェラに出演していて、人気急上昇中。

お互いソロキャリアを積んだ後、2021年よりデュオでの活動をスタート。2023年発売の初アルバム『Quëreles』がスペインのレコードチャートNo.1を記録。2025年にはイビサHi Ibizaでレジデンシーを獲得。女性DJがHi Ibizaのメインフロアでフルシーズン・レジデントは史上初。Hi Ibiza出演は2026年も続行中です。

イビサ島はマドリッドやバルセロナからLCCで1時間しかかからないスペイン領。外国人DJがのさばっているイビサで、MËSTIZAはドメスティック期待の新星。オリジナリティも抜群で、アンダルシアやラマンチャ好きにはたまりません。

イビサは昔、リストバンドを買うといろんなクラブにフリーや半額で入場できるという仕組みだったのですが、今はリストバンドではなく「ナイトライフ・パスポート」というデジタルチケット(QRコード支給)になっています。

このようなパスポートはHi Ibizaでは使えず、有名クラブは個別にチケットを買う必要があります。道端で「ディスカウント・パスあるよー」と声をかけてくる自称プロモーターのオッサンには気をつけてください。

Smokin Jo(スモーキン・ジョー)

元祖女性DJ、Smokin Jo(スモーキン・ジョー)ことJoanne Joseph(ジョアンナ・ジョゼフ)さん。ロンドンSohoのHyper Hyperという服屋さんで働きながら、1989年にDJを開始。ゲイクラブとして有名だった「Trade」でレジデントDJを務め、イビサ「Space」などにも出演。

アシッドハウスブームの火付け役となり、1992年にはDJ Magにて世界No.1DJに選出されました。現在でもTop100 DJsで1位を獲った女性は彼女だけ。この頃は編集者や評論家が選んだランキングで、現在のようにお金を払って票を買う出来レースではありません。プロが本気で選んだら、この人が1位になりました。

MinistryやBBCなどわかりやすいところに出なかったせいか、曲をプロデュースしていないからか、知名度が低いのですが、2024年の自伝本『You Don’t Need a Dick to DJ』出版を機にDJ出演の機会が増え、今後、再評価が進む人だと思われます。何たって本のタイトルがイカしてます、DJが男である必要はありません。

普通に計算すると60歳を超えているはずなのですが、この人の廻りだけ時計が止まっているのでしょうか。見た目年齢が相当バグっています。

赤ちゃんの時に児童養護施設に預けられ、各地の養護施設をたらいまわしにされる間、常に職員や児童から攻撃的な人種差別を受け、タフな幼少期を過ごしたJoさん。そんな彼女が落ちつける場所が、クイアたちが通うロンドンのナイトクラブでした。

もともと「Smokin Jo」と名付けたのも、当時、白人男性DJばかりのクラブ業界で、唯一ミックスの女性DJというのは人種・性別的に差別されたので、ボクシング選手のJoe Frazier(ジョー・フレイザー)から取ったイカツい名前で、女性DJという偏見を払拭したかった、とのことです。

当時の写真ではスキンヘッドに近いベリーショート。超ビザールなオカマファッションしてるOiパンクスに見えます。美しく見せたいオカマちゃんたちががんばってる中に、アグリーな男に見せたい女の人がいたとは何ともシュール。

ブラックの血が混ざっていることも、クール系の美人であることも、女性DJ花盛りの今となっては強力なアドバンテージですが、当時は「下手クソ」と勝手な陰口をたたかれ、ブースにわざわざ寄ってきてミックスが失敗するのを待っていた男性客がいたそうです。今どきセクハラとストーカーで訴えられますよ、それ。

他にもDennis Ferrer(デニス・フェラー)の弟子のHoneyluv(ハニー・ラブ)さんや、Defectedイチ推しのSam Divine(サム・ディヴァイン)さん、今DJ Magが猛烈プッシュ中のJazzyさんなど、大活躍の女性DJがたくさんいるのですが、キリがないのでストップします。

今や女性DJの方が多いDJ Mix番組もあるぐらい、女性がDJするのは見慣れた光景ですが、女性DJが爆発的に増えたきっかけはパンデミックだそうで、ごく最近と言えます。

一般的に女性DJのパイオニアと言われているのは、ドイツ人テクノDJのEllen Allien(エレン・エイリアン)さん。90年代からTresor、E-Werk、Berghainの前身Ostgutなどで活躍し、’99年レーベル「BPitch Control」を立ち上げ、ベルリンテクノの女王と呼ばれました。

ハウスは起源がゲイサウナ&ゲイクラブという一面があり、女人禁制的な雰囲気で、長らく女性DJがいなかったのですが、前述のSmokin Jo(スモーキン・ジョー)さんが断トツにキャリアが長く、次点はHoney Dijon(ハニー・ディジョン)さん。

2016年Mixmagの「DJ of the Year」に選ばれたThe Blessed Madonna(ブレスド・マドンナ)さんが女性ハウスDJのパイオニアと書いているメディアがありますが、前述ふたりの方が10年以上早いです。

誰もが知る女性DJといえばNina Kraviz(ニーナ・クラヴィッツ)さん。彼女はRed Bull Music Academy出身で、初の「スーパースター女性DJ」だそうです。元歯科医のロシア美人DJということで、メディアに取り上げられることが多く、今でもフェスでヘッドライナーを飾れる数少ない女性DJのひとり。

現在 DJ Mag Top100 DJs では、ベルギーのテクノDJ、Charlotte de Witte(シャーロット・デ・ウィッテ)さんが9位、ペギー・グウさんが12位。ハニー・ディジョンさんは97位。トップ100人のうち15人が女性DJ。

日本では現在クラブシーンをけん引しているのは女性DJだそうで、世界の「男性優位業界」より先をいっています。さすがジャパン。

まあ別にDJの内容が良ければ、男でも女でも性別不明でも構いませんが、女の子がDJしているのを見ると何だかトクした気分になります。今後もガールズDJやママDJのみなさん、がんばってください!

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