近年では、モジュラーシンセや、アナログシンセ、ドラムマシンなど、ハードウェア人気が高まり、DAWレスのライブを行うミュージシャンが増えています。
あえて制限のあるハードウェアシーケンサーでセットアップを組むことで創造性が刺激され、創作意欲が湧くという声も聞きます。
音楽機材をコントロールする中核となるハードウェアシーケンサーの新作が続々と市場に登場していますが、
「シーケンサーは音を制御するだけの機材なのだから、どれ使っても同じではないの?」
そう思っている人も多いのではないでしょうか?
アナログで制御されているCVならば音が変わるというのはまだ理解出来ますが、デジタルで制御されたMIDIであれば、分解能が同じだったら出る音は変わらないだろうと。
しかし、実際に聴き比べてみると、シーケンサーによって出てくる音の特徴があるように感じられます。
なぜ?と問われれば、内部クロックの精度の違い、信号処理の速度、シーケンサーの発音タイミングなどいくつか考えられそうですが、明確な答えはわかりません。
また、ハードウェアシーケンサーは機能面においても多くの違いがあり、自分の音楽制作のスタイルに最適なものを選ぶのはなかなか至難の技です。
今回は自分のニーズに合ったハードウェアシーケンサーを選択できるように、おすすめのハードウェアシーケンサーを12台をご紹介します。
文字量過多なので、読むのが面倒だという人は各シーケンサーの動画だけ見ても楽しめると思います。気に入ったデバイスがありましたら、メーカーウェブサイトで詳しく確認してみてください。
なお、ここで紹介しているハードウェアシーケンサーは、物によってはパソコンでDAWを習得するよりも難しい場合があります。
初学者がハードウェアシーケンサーにチャレンジする場合は、日本で発売されていて、マニュアルがしっかり用意されている製品から始めた方が良いです。(またはシーケンサー付きのドラムマシンから始める方が良いと思います。)
また、ハードウェアシーケンサーは音源が内蔵していない物も多く、別でシンセやドラムマシンの購入が必要となる場合がありますので、かなりコストがかかる事も留めて置いてください。
ハードウェアシーケンサーとは?
まず、音楽でいうところのシーケンサー(ミュージックシーケンサー)について軽く説明しますと、音符データなどの演奏情報を記録・再生できる機器、またはソフトウェアのことです。音源と接続して自動で演奏をさせることができ、音源とシーケンス機能が一体化した製品も多々あります。
近年、音楽作りはコンピューター上のソフトウェアでの制作が主流となっていますが、ハードウェア機材に内蔵されたシーケンサーでの音楽制作も非常に人気があります。
ハードウェアシーケンサーおすすめ12選
Sequentix Cirklon V2
参考価格 : €1,750
ベルリンを拠点とするSequentix社のCirklon V2はマルチトラックのMIDIおよびCV/Gateのハードウェアシーケンサーです。
外観には480×128ピクセルのフルカラーTFTタッチパネル、19個のロータリーエンコーダー(プッシュスイッチ付き)、2個のアサイン可能なノブがあります。
1〜4バンクまで最大64トラックを搭載しており、1バンクにつき16トラックを使用できます。トラックは最大256ステップで、ステップシーケンサー・モード以外にも、イベントリストやドラムグリッド・モードで任意の長さのパターンを作成するできます。
背面には5つの独立したMIDI IN/OUTを備えており、MIDIのレイテンシーを最小限に抑えながら、多数のコントローラーやシンセ / サウンドモジュールを接続できます。
追加オプションとして、CV/Gateを利用するために「Breakout Box」と「CVIO Upgrade Board」が用意されており、D-sub25ピンケーブルで接続することで、16個の高解像度CV出力と8個のGate出力が利用出来るようになります。
また、DAWとの同期やソフトシンセのコントロール、PCからのMIDIパススルーが可能なUSB MIDIや、16個の独立したドラムボイスのトリガーと、アクセントのコントロールを可能とするアナログパーカッション・トリガーインターフェース「Drum Mux」を接続可能なDIN Syncも装備しています。
USB MIDIインターフェースのUSBホストサポートにより、最大16個のMIDI入出力ポートを追加もできます。
本機には2MBのバックアップRAMが搭載されており、RAMにはすべての楽器のデータと設定オプションが格納されます。RAMは不揮発性で電源を切っても保存され、電源を入れた瞬間に元の作業していた状態に戻れます。シーケンス内容は内蔵フラッシュストレージ、SDカード、MMCカードに保存出来ます。
ライブで映えるような派手な機能は持ち合わせておりませんが、ベタ打ちでもグルーヴが発生する有機的なシーケンサーであり、多くのアーティストから高い支持を集めています。
品薄状態が続いており、購入はウェイティングリストに登録してから3年待ちです。その結果、中古市場では高額で取引されており、新品で購入するより中古の方が高いという状況になっています。
Squarp Instruments Hapax
参考価格 : €1080
パリを拠点とするSquarp Instrumentsは、Pyramid、Hermodなどの多機能シーケンサーで有名な企業です。
Hapaxは、デュアル・プロジェクト・アーキテクチャと呼ばれる、2つの独立したプロジェクトを同時再生することができる機能を搭載しています。2つの独立したプロジェクトは、それぞれに専用の有機ELスクリーンを搭載しているため、片方を起動したままもう片方を再生できます。
これにより、楽曲の再編成が容易になり、プロジェクト間の移行もよりスムーズになります。各プロジェクトは16トラック、1トラックあたり16パターンで構成されています。また、MPE(MIDI Polyphonic Expression)を完全にサポートする最初のハードウェアシーケンサーでもあり、演奏の細かいジェスチャー、スライド、アーティキュレーションを、クオリティを落とさずに記録できます。
Hapaxは黒のアルミ製筐体で、重さはわずか1,855gという軽さです。DAWに近いコンセプトを持っており、ライブやステップレコーディングを優先しているため、メインのシーケンサーとして使用するのに最適です。
Hapaxは9個のエンコーダーと128個のパッド、インプット端子にはMIDI×2、CV×2、PEDAL×1があり、アウトトップ端子はMIDI×4、CV/GATE×4、ENV×、GATE×1があります。また、USB接続×2(PC用、コントローラー用)でのインアウトも可能となっています。
1つのトラックの長さは1ステップ~32小節まで変更でき、各トラックは選択されたMIDI出力とチャンネル、USB MIDIチャンネル、またはCV/GATEにデータを送信します。
録音は192ppqnの解像度で処理され、ルーパー・スタイル、カウントダウン、メトロノーム・オプション、パンチイン録音などのモードがあります。
また、DAWに似たアプローチのリアルタイムMIDIエフェクトを提供しており、1つのトラックには8つのエフェクトスロットがあり、エフェクトを挿入すると順番に実行されます。エフェクトはマトリックス、スウィング、スケーラー、ディレイ、フィルター、チャンス(確率)、ユークリッド、LFO、ランダマイザー、ハーモナイザー、アルペジエーターなどがあります。
多彩な機能を備えた優れたハードウェアシーケンサーのため、ボタンとエンコーダーの組み合わせをマスターするにはかなりの時間が必要ですが、覚えることで、曲を作ったり、タッチパッドやスマートパッドを使ってパフォーマンスを加えたりするのが簡単になります。
OXI Instruments OXI ONE
参考価格 : €749
OXI Instrumentsは、音楽的アイデアの創造、作曲、演奏に焦点を当てたハードウェアデバイスの作成を専門とするスペイン発の新興メーカーです。
16×8のグリッドパッドが目を引くOXI ONEは、1つのUSB MIDI、1つのTRS MIDIインとアウト、8つのCV/Gate出力、そしてBluetoothに対応しています。
4つのシーケンサーを内蔵しており、Multi、Chord、Mono、Polyという4つのモードを組み合わせることができます。最大32トラック(モードの組み合わせにより最大数が変化)、最大128ステップ入力が可能で、ソングモードでは1つのプロジェクトに最大16曲まで保存可能です。
コード、ハーモナイザー、アルペジエイター、ストラム奏法など多機能な演奏法に加え、パターン・ランダマイザー、4つのモジュレーションレーン、グライド、ラッチ、マイクロタイムオフセット、ループ、スウィングなど多くの機能を有しています。また、エディットをUndo/Redoボタンで戻すことができるのが便利です。
より多くの機器をMIDI接続でコントロールしたいユーザーのために、オプションとして「OXI Split」が用意されており、1つのMIDI入力と2つのMIDI出力を備え、データ転送容量は2倍、MIDIチャンネル数は最大32となり、より多くのハードウェア機器のコントロールができます。
さらに、わずか1Kgという可搬性の良さを実現しており、まさにライブのために開発された新世代のシーケンサーです。
専用のフォーラムでは開発者とユーザーでの意見交換が活発に行われており、今後も多くの機能がアップデートされる模様です。
Synthstrom Audible Deluge
参考価格 : $1399
Synthstrom Audible Delugeはニュージーランド発のシンセサイザー・サンプラー・シーケンサーが一体となったオールインワン・ワークステーションです。
Monomeのオリジナル・コントローラーのような16×8のグリッドがあり、その上にはボタンやノブを備えたコントロール・パネルがあり、ノートおよびパラメーターオートメーションの編集と録音のUndo/Redoなど、状況に応じてさまざまなことが出来るようになっています。
ピアノロールを使ったDAWのような編集が可能で、楽器パートをシーケンスして長い曲を作成したり、オーディオクリップを扱えます。
シンセサイザーエンジンは、4種類の基本デジタル波形、2種類のアナログモデル波形、またはSDカードから任意のWAVファイルを選択可能です。LPF / HPF、FM、ポルタメント、オシレーターシンク、リングモジュレーション、ユニゾンデチューン、アルペジエイターなどの機能を搭載し、最大64のシンセボイスを同時に演奏可能です。
また、LFOとエンベロープによるカスタマイズ性の高いモジュレーション・マトリックスによって複雑なエディットを可能にし、エフェクターはディレイ、リバーブ、コーラス、フランジャー、フェイザー、ビットクラッシャー、サイドチェーンエフェクト、ライブスタッターなどが搭載されています。キーボードモードでは、パッドが2Dグリッド上のライブ楽器となります。
サンプリングでは、すべてのサンプルをSDカードから直接ストリーミング再生可能(RAMサイズによる制限なく影響を受けない最大90のサンプルボイスを同時に再生可能)で、マルチサンプリング、自動ピッチ検出による高速フォルダインポート、タイムストレッチとピッチシフト、フィルター、モジュレーション・マトリクス、FX、リサンプリング、スライサーなど多岐に渡る機能があります。
入出力は、2つの1/4インチライン出力、3.5mmヘッドフォン出力、3.5mmマイク入力、1/4ライン入力、内蔵マイク、2つのCV出力があります。V-TrigまたはS-Trigに個別に設定可能な4つのゲート/トリガー出力、共有電圧は5Vと12Vの間で切り替え可能、MIDI入出力はハードウェアコネクタまたはUSB経由で行います。電源にはUSB Bケーブル、または9~12Vセンターマイナス(500mA)の電源(別売)が使用できます。
Delugeには、シンセ、シーケンサー、サンプラー、ドラムトラック、レコーディング、ルーピング、オーディオストリーミング、ミキシング、マスタリング、パフォーマンスなど音楽制作に必要なツールがすべて揃っています。コンピュータから離れて作業できるので、モジュラーやMIDI機器、外部処理などと組み合わせて、独自のコンテクストを楽しみたい人や、ハードウェアでの音楽制作に興味があるけども、まだ一つもハードウェアを持っていない人などにおすすめです。
Doepfer Dark Time
参考価格 : 66,880円
Doepferといえば、世界で最も多くのアナログ・ モジュラーシンセサイザーを生産しているドイツの老舗メーカーです。
Dark Timeは質実剛健といった言葉がしっくりくるトラディショナルなスタイルの2段×8ステップを装備したUSB・MIDI・CV/Gate対応の小型ステップシーケンサーです。アナログスタイルのシーケンサーですが、実際には回路のほとんどがデジタル制御されており、非常にシンプルに構成されています。
元々はDoepferのアナログシンセDark Energyのアドオンとして発売されたものですが、他のMIDI、USB、CV/Gate機器と組み合わせて使用できます。2列8段のシーケンスは、3つの異なる構成で設定できる柔軟性を備えており、1 x 16のステップ、または2×8のステップとして2列をパラレルに動作させることが可能です。
ステップ・シーケンサーはピッチをコントロールするだけでなく、外部シンセサイザーのサウンドのパラメーターも同じように直感的にコントロールできます。8ステップずつの2つのパターンを並行して走らせ、ピッチとカットオフ周波数、ボリュームと音色など、サウンドの2つのパラメータに独立してアクセスできます。
また、音程クオンタイズをオフにすると、分解能は10ビットのまま(つまり、各ポテンショメーターの回転範囲全体で1024ステップ)となり、微分音など半音以下の音程を作れます。
各ステップには、2つの3ポジションのスイッチ「On/Off/Skip」と、「Stop/Continue/Jump」がありますが、特筆すべき機能として「Jump」があります。16個のトグルスイッチのうち、2つ以上のスイッチが「Jump」の位置にある場合、スイッチが次の位置にある「Jump」まで移動します。これによりオンザフライで、フレーズをどんどん変化させることが出来ます。
注意点として、Dark TimeのCVスケーリングは、Oct/V方式のため、Hz/V方式のシンセサイザーには不向きです。
DAWに取って代わるような現代的な機能はありませんが、出音の良さという点では他のハードウェアシーケンサーを凌駕する製品ではないかと思います。しかし、ライブの中核を担うシーケンサーというよりは、補助的なシーケンサーとして、フレーズを生み出す制作ツールの一つとして力を発揮するシーケンサーといえるかもしれません。
Polyend Seq
参考価格 : 138,416円
Polyend Seqはポーランドの電子楽器メーカーPolyend社が製造する直感的な操作が可能なハードウェアシーケンサーです。
Seqについて最初に心躍らされるのは、その印象的なデザインです。ハンドメイドの木製ケースとマットブラックのメタルパネルに272個もの光り輝くラバーボタンが配置されています。
8つのトラックに32ステップのボタンがズラリと並び、さらに、8つのトラックセレクトボタン、8つのファンクションボタン、6つのバリューノブ、明るいTFTスクリーンが搭載されています。背面には、DC5Vの電源入力と電源スイッチに加え、USB MIDIポートと4つの標準的なMIDI DINポート(イン×1、スルー×1、アウト×2)、フットスイッチがあります。CV/Gateは標準搭載しておりませんが、PolyendのEurorackモジュール「Poly 2」と接続することで、CV/Gateでのコントロールが可能になります。
SeqではMIDIやUSB経由でのリアルタイム録音が可能です。各トラックはモノフォニックですが、録音時に複数のトラックを選択すると、ポリフォニックな演奏は利用可能なトラックに振り分けられます(例えば、4音のコードには4つのトラックが必要です)。
各トラックにはステップごとに1つのMIDI CCの値を入れることができます。制御するCCナンバーはトラックレベルで設定されます。また、各ステップをナッジ機能でクオンタイズされたグリッドから外すことも可能です。Seqの内部解像度は48ppqnで、ステップごとに手動でナッジを行うか、MIDI入力を介して録音し、人間味のあるフィーリングを作成ができます。そのほかにも、ロール、ランダム化、コード、スケールなどの機能があります。
パターンは最大256個まで保存可能。パターンは編集時に自動的に保存され、パターンファンクションキーを押しながら256個のステップキーを押すだけで簡単にパターンを呼び出せます。パターン・チェインは可能ですが、ソング・モードはありませんので、ライブ・パフォーマンスがコンセプトの重要な部分を占めています。
Polyend Seqはシーケンスに揺れがなく、非常にタイトな出音で純正な電子音楽にマッチする印象です。
Manikin Electronic Schrittmacher
参考価格 : 193,380円
Klaus Schulze(クラウス・シュルツェ)が開発に参加したとされているManikin ElectronicのSchrittmacherは16ステップのMIDIステップシーケンサーで、最大32トラックのステップシーケンスを使用可能です。本体内のメモリーエリアに作成したシーケンスを30個保存できます。
Schrittmacherは現代的な多くの機能は持ち合わせておりませんが、Doepfer Dark Time、Sequentix Cirklon V2もそうですが、ドイツのメーカーが作るシーケンサーは何故こんなにもグルーブ感に溢れているのかと驚かされます。
16個のエンドレスロータリエンコーダと28個の押しボタンにより、さまざまなパラメータに素早くアクセスでき、アイデアを直感的かつ迅速に実現できます。また、大型グラフィックディスプレイは、概要と豊富な入力に快適さを提供します。
ノートラインの移調や、その他のシーケンスパラメータの制御、再生モード(順方向、逆方向、順方向/逆方向、ピンポン、ランダム)と速度を設定可能、作成したシーケンスは外部キーボードを使って外部から操作できます。
MIDIイン×1とMIDIアウト×2というシンプルさが潔い、硬派なシーケンサーになっています。
Elektron Octatrack MKII
参考価格 : 174,900円
スウェーデンの電子楽器メーカーElektronはハードウェアのライブ感のある機材を得意としています。エレクトロニック・ミュージックのトラックメーカーなら一度は同社の製品名を耳にしたことがあるでしょう。
Octatrackは、44.1kHz、24ビットD/AおよびA/Dコンバーターに、MIDI In/Out/Thru、バランス出力×4、バランス入力×4という豊富な入出力端子を備えており、サンプルやプロジェクトの保存にはコンパクトフラッシュカードスロットが採用されています。
明瞭なOLEDスクリーンと5,000万回のプレスに耐える堅牢なボタンに、サンプラー、シーケンサー、DJ的ツールなど様々な機能を備えています。シーケンスに関しては、8つのオーディオトラックと8つのMIDIトラックがあり、それぞれが64ステップのパターンを持っています。
各トラックは独自の長さと拍子で演奏でき、トリガーコンディションやパラメータロック、マイクロタイミングなどを設定できます。
トリガーコンディションは、様々な条件に応じたトリガー設定ができます。何回かに1度だけ鳴らしたり、%に応じたトリガー、フィルモードの有無、隣接するパターンに応じた動作など、シーケンサーにバリエーションと面白さを簡単に加えることができる、非常に優れたクリエイティブツールです。
パラメータロックは、あらゆるトリガーに任意のパラメータ値を設定ができる強力な機能です。たとえば、トラックのすべての音に異なるピッチや、ボリューム、エフェクトなどを設定できます。
マイクロタイミングは、各トリガーのタイミングを前後にズラす事が出来ます。これにより、シャッフルやスウィングとは違った独自のノリを作り出すことが出来ます。
各トラックは、リアルタイムのピッチシフト、ループ、タイムストレッチを含む様々なサンプル/ループ操作ツール、エンベロープコントロール、2 つのエフェクトスロットを経由してオーディオ信号を処理し、合計14のプロセッサーから選択できます。また、各チャンネルには、アサイン可能な3つのLFOとシェイプを調整できるLFOデザイナーが搭載されています。
Octatrackの最もダイナミックな部分の1 つは、トラックシーケンス間をシームレスにブレンドできるシーンクロスフェーダーで、この機能はライブパフォーマンスにおいて、Octatrack MkIIを一つ飛び抜けた存在にしています。
Arturia KeyStep Pro
参考価格 : 42,790円
KeyStep Proは、3オクターブのミニキーボード、5つのタッチセンサー付きエンコーダー、16ステップのパッドを搭載した4トラックのMIDI/CVシーケンサー&コントローラーです。
入出力として、ソフトウェア・インストゥルメント用のUSB×1、ハードウェアシンセ用のMIDIイン×1、MIDIアウト×2、Eurorackモジュラー・シンセサイザー用のCV/Gate/Mod出力×4、専用ドラムGate×8、サスティン・ペダル入力を装備しています。
4つのトラックはすべて、最大64ステップのパターンを実行するポリフォニック・ノート・シーケンサーとして動作します。トラック1は24パートのドラムシーケンサーとなっています。トラック2、3、4はそれぞれシーケンサーモードとアルペジエーターモードに切り替わります。ランダム化、確率、コード・モード、ビートリピート、ルーパーなどの機能を備えています。また、LED リング付きエンコーダーにMIDI CCをアサインしてオートメーションや、静電式タッチ・ストリップでルーパーなどのコントロールができます。
4つのトラックでは柔軟性のあるルーティングを実現できます。各トラックには任意のMIDIチャンネルを割り当てることができ、CVの1つ以上を任意のチャンネルに割り当てることができます。つまり、4つのCV出力を使用して、4つのモノラルシーケンス、1つの4ボイス・シーケンス、またはその間の任意の組み合わせを個別に作成が可能です。
キーボードの他に、16ボタンのステップシーケンサーと、5つのパラメータロータリーを使ってパターンを作成します。ピッチ、ゲートの長さ、ベロシティ、タイムシフト(ステップをグリッドからわずかにずらす)、ランダム性、確率レベルを、個々のステップまたはシーケンス内のすべてのステップに対して同時に調整ができます。
KeyStep Proは、一度に16個のプロジェクトを内部メモリに保持できます。これらのプロジェクトは、ArturiaのMIDI Control Centerユーティリティーでバックアップとロードが可能です。プロジェクトには、各トラックに16のパターンと16のシーンが保存されています。
KeyStep Proは、メロディーやコードを入力するには、パッドよりも鍵盤の方が適しているのは当然ながら、その内部構造はモジュラーシンセやハードウェアシンセのファンのために開発されたデバイスであることは間違いありません。
AKAI Professional Force
参考価格 : 138,000円
AKAI Professional Forceは、パワフルなサンプリング、ループ機能、4つの内蔵シンセエンジン、クリップラウンチャー、ステップシーケンサー、さらにはDJ的な機能までを搭載しています。
CV/GateやMIDIにより、お気に入りのハードウェアとの接続が可能です。10GB以上のサウンドを搭載し、USB、SDカード、SATAドライブ経由で自分のサンプルを取り込むことができる包括的なスタンドアローン型音楽制作システムになります。
パネルは2段に分かれており、その間に8つのエンコーダー・ディスプレイが見やすい角度になるように設置されています。上段には、7インチのタッチスクリーン、トランスポート、ナビゲーション、モードボタン、クロスフェーダーが配置されています。下段には、8×9のグリッドがありクリップ/シーン・ローンチや、キーボード演奏の代わりに使用されます。
前面には、レベルコントロール付きのヘッドフォン出力が1つと、マスターとステレオキューをブレンドするためのCue Mixノブがあり、背面には、2つの1/4インチTRSステレオ出力、マスター出力と、2つ目のステレオAUX出力またはDJで利用するようなステレオキュー出力があります。
入力されたオーディオ信号は、2つのXLR入力に接続され、ゲインノブでレベルを調整し、ラインレベルとインストゥルメントレベルを切り替えができます。また、+48Vスイッチを切り替えると、マイク信号にファンタム電源を供給できます。
この柔軟な接続性により、好きなソースからオーディオのサンプリングができます。リアルタイム・タイム・ストレッチ・アルゴリズムと自動BPM検出機能により、サンプルとループの同期が迅速かつ簡単に行え、複数のステムを読み込んで同じBPMに同期させ、すぐにマッシュアップできます。1つのパッドには最大4つのサンプルをドロップし、それらをレイヤー化したり、ベロシティマッピングしたり、ラウンドロビンやランダムにトリガーしたり出来ます。
また、自分のサンプルを取り込むために、2つのUSB Aポート(USB MIDIにも対応)とSDカードスロットが用意されています。下部には2.5インチのSATAドライブスロットがあり、SSDやHDDのハードドライブでストレージを拡張できます。Ableton Linkなどの接続時には、WiFiとBluetoothが内蔵されているほか、EthernetまたはUSB-Bポートを使って手動でコンピュータに接続もできます。また、Forceは無線LANに対応しているので、オンラインでsplice.comのアカウントにサインインして、サンプルコンテンツを直接ハードウェアにダウンロードが可能となります。
シンセモードでは、AIR Music Technology社が開発した4つのシンセ・エンジンを内蔵しており、ベース、リード、プラック、パッド、サウンドスケープ、エフェクトなど、あらゆる種類のサウンドを編集できます。ベロシティ・センシティブ・パッドや外部MIDIコントローラーを使って、リアルタイムに演奏もできます。また、ピアノロールを使ってシーケンスを組むことや、ノートモードに切り替えることで、インテリジェントなコード、プログレッション、スケール、アルペジエーター機能にアクセスできます。
ミキサーエリアでは、レベル、パン、オートメーションなどを完全にコントロールできます。ここでは、プロジェクトのセンド&リターン、マスターアウトにもアクセスでき、プロセッサーやAUXエフェクトをセッション全体に渡って使用できます。
Forceは基本的にはDAWと遜色がない機材ですが、Ableton Push2やNI Maschineのように、コンピューターベースでの利用を想定した機材と比較すべきではありません。コンピューターなしでも、エレクトロニック・ミュージックの制作、シーケンス、パフォーマンスのほぼすべての側面を難なくこなすことができるというのがForceの最大の魅力となっています。
楽曲の作曲、演奏、リミックスを内部で行えるだけでなく、外部のMIDI/CVハードウェアをトリガーして再生したり、サンプリングしたり出来る真のスタジオハブと言えそうです。
Pioneer DJ TORAIZ SQUID
参考価格 : 77,000円
TORAIZ SQUIDは、シーケンス・パターンを素早くプログラムし、ダイナミックに変化させることで、フレーズを次々に生み出せるマルチトラック・シーケンサーです。
USB×1、MIDI IN/OUT/THRU×1、CV/GATE×2、DIN SYNCでシンセやドラムマシンをコントロールでき、クリック感のあるボタンと、LEDリングを内蔵した16個のラバーパッドのパフォーマンスグリッドを備えています。最大トラック数16トラック、最大パターン数(各トラック)64パターン、最大ステップ数(各パターン)64ステップ、最大ノート数(各ステップ)8ノート、最大プロジェクト数128プロジェクトとなっています。
MacやPCで、Squid Managerソフトウェアを使ってシーケンスを管理ができます。Squid Managerソフトウェアは、ライブパフォーマンスの準備にも最適で、保存したパターンをセットごとに整理して、ライブ前に適切なセットをロードできます。
TORAIZ SQUIDには、リアルタイムレコーディングとステッププログラミングという2つのシーケンス作成方法があります。前者は一般的に、パッドグリッドをスケールモード(一般的な機器ではノートやキーボードモードと呼ばれる)に設定して行います。専用のノブでスケールとキーを設定し、パッドの範囲をシフトできます。
ステップのパラメーター入力や鍵盤としてリアルタイム演奏が可能な「16パッド」を中心に、「インターポレーション」、「ハーモナイザー」、「トランスポーズモード」「ランダマイザー」といった多彩なシーケンス機能を組み合わせることで、直感的で素早いフレーズ作りが可能です。
その中でも「インターポレーション」は、パターンのバリエーションを簡単に作ることが出来るユニークな機能です。基本的なパターンを作成したら、現在の設定に基づいてそのパターンのバリエーションが生成されます。この機能では、シーケンスの最初、中間、最後のステップのピッチ、ゲート、ベロシティの値を確認し、それらのステップの間のステップを自動的に埋めて、最初に作ったパターンと完全に融合した新しいパターンを生成します。
各トラックは、ゲートやノートと一緒に最大5つのMIDI CCパラメータをシーケンスすることができます。CCオートメーションは、録音中にリアルタイムでキャプチャーしたり、パッドにステップを置いて値を設定することでパラメータロック形式で再生できます。
スケールやコードをリアルタイムに演奏が出来ることに加え、再生速度に周期的な変化を加える「スピード・モジュレーション」や、シーケンス・パターンの再生方向を変更することで新しいフレーズを簡単に生み出せる「ランニング・ダイレクション」、リアルタイムのスライダー操作によってトリガータイミングを変化させ、独自のグルーヴ感を生み出すことができる「グルーヴ・ベンド」など、インスピレーションを高めるための機能も搭載されています。
TORAIZ SQUIDのフロントパネルで最も目立つコントロールは、クロスフェーダーのように見えますが、実は「グルーヴ・ベンド」です。このスライダーは、ピッチホイールのように中央に配置されており、トラックのタイミングを瞬間的に変化させます。左に押すと、音がビートから1ステップほど遅れ、右に押すと早まります。その結果をオートメーションとして非破壊でパターンに記録ができます。
TORAIZ SQUIDはセットアップの中心的な役割を果たすことができ、現代的な多くの機能によってライブパフォーマンスで力を発揮出来るでしょう。
KORG SQ-64
参考価格 : 27,500円
64パッドのシーケンス・マトリックスを搭載したKORG SQ-64は、4つのシーケンサー・トラックで、シンセ、ドラムマシン、EurorackモジュールなどにCV/Gate、MIDIでコマンドを送ることができます。
また、マトリクスのパッドをキーボードモードにして、自分の演奏をシーケンスに打ち込むこともできます。マスタークロックとして使用したり、MIDIやオーディオシンクでDAWやドラムマシンのクロックに同期させることもできます。
SQ-64は4つのトラックで最大64ステップのシーケンスをサポートします。最初の3つのメロディトラック(A、B、C)は最大8音のポリフォニーをサポートし、各トラックにはMod、Pitch、Gateの出力があります。4つ目のトラック(D)はモノフォニックな16パートのシーケンサーとして設計されており、8つの異なるMIDIノートと、8つの独立したゲート信号を出力でき、ドラムマシンやドラム・モジュールの操作に最適です。
また、ピッチモードでは、単音、アルペジオ、コードなどの再生が可能です。リアルタイムレコーディングはUSBやMIDI経由で行えるほか、64個のパッドはキーボードとして使用できます。
キーボードモード(ピアノ鍵盤)、アイソモーフィックモード(コードの形を変えずに直観的に、簡単に移調できる)、オクターブモード(1つのスケールの音が3列に渡って約3オクターブ分並ぶ)の3つのモードがあります。
シーケンスを作成した後は、ステップごとに確率コントロール、リバース、バウンス、ストカスティック、ランダムなど、シーケンスのプレイバックをリアルタイムに操作するクリエイティブな方法が用意されていて、常に変化するシーケンスを作成できます。
電源はUSBバスパワーもしくは9VのACアダプター(KORG KA350)の2種類が使用できます。
KORG SQ-64は、スタジオでの制作でも、ステージでのライブでもフレキシブルに活躍する楽器のようなコントロールを提供します。