すぐに仕上がった曲と、何度も行き詰まった曲。
制作にかかった時間だけで、どちらが良い曲かは決まらないものです。
Dave Leeが自身の投稿で紹介した「New York City Woman」と「Starlight」のエピソードは、そんな曲作りの面白さを感じさせます。
「New York City Woman」は、Joey Negro & The Sunburst Bandのデビュー・アルバム『Here Comes The Sunburst Band』に収録されている曲です。
ところがLeeによると、制作はかなりの難航ぶりで、サンプルをドラムになじませる作業がうまくいかず、諦めかけたほどだったそうです。
本人は今の技術ならずっと簡単だっただろうと振り返りつつ、早くまとまったからといって良い曲になるわけではない、とも話しています。
完成した音だけを聴いていると想像しにくいですが、その裏では素材の組み合わせにかなり悩んでいたんですね。
具体的なサンプルの出典や解決方法までは確認できていないものの、ドラムと他の音の関係に耳を向けてみると、この回想を踏まえた聴き方ができそうです。
もう一つの「Starlight」では、違った転機がありました。
使われたのは、数年前に別の歌手のために作り、Lee自身もほぼ忘れていた伴奏だったそうです。
そこへOmarの歌が加わると、突然その伴奏が良く聞こえたといいます。
ここに至るまでのやりとりもなかなか興味深いです。
最初にLeeが送ったのは別のミッドテンポの伴奏でしたが、Omarと話してみると、それほど気に入っていないように感じたそうです。
そこでハードディスクを探し直し、以前ほかの歌手向けに作ったものの使わなかった曲を発見して、もう一度送ってみました。
すると約30分後にOmarから電話があり、すでに「Starlight」のサビを書いていたというのです。
もちろん、30分で曲全体が完成したという意味ではなく、伴奏を送り直してからサビが生まれるまでのお話です。
眠っていた素材が、歌い手との組み合わせで一気に動き出すこともあるんですね。
Leeはまた、ミックスを整理して音がクリアになるほど、パート同士がなじんでいないことに気づく場合もあると話しています。
タイミングを調整したり、パートをシンプルにしたりして解決することもあれば、何か月も寝かせては戻り、展開を書き直したり録り直したりすることもあるそうです。
「New York City Woman」ではサンプルとドラムの関係に悩み、「Starlight」では歌が入ったことで伴奏の印象が変わりました。
二つの話に共通して見えてくるのは、素材をそろえるだけでは分からない、組み合わせて初めて気づく音楽の面白さです。
制作の速さを比べるよりも、何が加わり、どこを整えたときに曲がしっくりきたのか。
そんな視点で完成曲を聴いてみると、いつもとは少し違った発見があるかもしれません。

