電子音楽のリスニング体験が不安を和らげ、喜びや他者との繋がりを強化するという調査結果が新たに発表されました。
この研究はMusic and Movement is Medicine(MiM)によって実施され、バイオメトリック(生体認証)情報を用いて電子音楽に対する身体のストレス反応を探る、イギリス初の大規模なデータセットの一つとなりました。
ロンドンの巨大会場Drumshedsで行われたこのプロジェクトには、行動科学の専門家やAlphaTheta、Broadwick Liveといった業界企業も協力しています。
実験では60名の参加者を対象に、リスニング、呼吸法、身体運動、ダンスを組み合わせた2つのセッションを行い、その際の心拍数がリアルタイムで計測されました。
特筆すべきは、座った状態での呼吸や動きの最中に、心拍変動(HRV)が18.5%向上したというデータが得られた点です。
これは自律神経がより穏やかな状態に移行していることを示しており、参加者の自己申告データでも不安の減少と幸福感の増加が確認されています。
さらに自由なダンスセッション中には、心拍数が個人の最大値の75%にまで達し、活発な身体運動が精神的な充足感に直結していることが示されました。
プロジェクトの主導者は、音楽と体験を特定の順序で構築することで、身体を「鎮静・構築・ピーク・回復」という明確なサイクルに導くことができると説明しています。
ストレス調節が音楽体験の「副次的な効果」ではなく、設計された体験による「直接的な結果」として測定されたことは、ダンスミュージックの新たな価値を示唆するものです。
近年、音楽が認知症のリスク低減や術後の回復を早めるという研究も報告されており、電子音楽が持つメンタルヘルスへの効能にも注目が集まっています。
音楽と身体運動が人間のウェルビーイングにどのような長期的影響を与えるのか、さらなる検証が期待されます。

