音楽制作・DJツールの世界的リーダーであるベルリンのNative Instrumentsが、米国の音楽技術コングロマリットであるinMusicによって買収されることが明らかになりました。両社は正式な合意に署名しており、今後数週間以内に取引が完了する見通しです。
inMusicは、Akai Professional、Moog Music、Denon DJ、Numark、Rane、M-Audioといった業界を象徴するブランドを多数傘下に持つ巨大企業です。今回の買収により、Native Instrumentsが誇るサンプラーの「Kontakt」や、DJソフトウェア「Traktor」などの主要プラットフォームが、inMusicの強力なハードウェア製造ノウハウと統合されることになります。
この動きは、2025年に両社が実施したAkai ProやM-Audio製品へのNKS(Native Kontrol Standard)統合という協力関係をさらに一歩進めたものです。買収にはNative Instrumentsだけでなく、同社のエコシステムに含まれていたiZotope、Plugin Alliance、Brainworxといった主要ブランドも含まれます。これにより、世界中の2,500万人を超える登録ユーザーに対し、よりシームレスな制作環境を提供することが目指されています。
今回の買収は、Native Instrumentsにとって「新たな章」の始まりを意味しています。同社は今年初めに法的な支払い不能状態( insolvency )を公表しており、事業を継続するための新たなパートナーを探していました。inMusicの最高経営責任者は、既存の全ブランドと製品ラインへの投資を継続し、クリエイターが信頼しているツールを今後も維持することを約束しています。
ユーザーにとって気になる既存製品のサポートについては、すべての地域において、製品、サービス、プラットフォーム、カスタマーサポートがこれまで通り継続される予定です。経営陣は、今回の統合がハードウェアとソフトウェアの技術的な連携を深め、将来的なイノベーションを加速させると自信を覗かせています。
TraktorとDenon DJ、MaschineとAkai MPCといった、これまで市場で競合してきたブランドが同一グループに収まることは、DJ・プロデューサーにとって大きな転換点となります。今後、機材間の互換性がさらに高まり、ライブパフォーマンスやスタジオ制作のワークフローがどのように進化していくのか、世界中のコミュニティから高い関心が寄せられています。

